時間に対する報酬か、成果に対する報酬か

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

前回に引き続き、
ここ最近ホットな話題になった裁量労働制
――特に今回は時間と成果について
考えてみたいと思います。

私は会社員時代、
フリーランスの技術者の方たちと
一緒に働かせていただきましたが
ある意味憧れの存在でした。
それは私の眼には、その方たちが
とても生き生きしているように映ったからです。

やがて私もフリーランスの技術者として独立。
その時に初めて知りましたが、
多くの契約が、稼働時間のボーダーを超えると
残業代のような感じで報酬が上乗せされるタイプでした。

20代の頃は体力もあったので
無茶な現場に入ると毎日のように終電ということも。
そういう現場はざらにあり、
そういう忙しい現場に入ってしまうと
お金を使う時間が無いため
知り合いの技術者はかなり荒稼ぎをしていたようです。

そんなある時、
フリーランス技術者の先輩から食事に招待され、
こんな話をされました。

「あなたはまだ今は若いから
 こんな働き方も良いと思っているかもしれないが、
 いつまでもできるわけではなく、
 いつかできなくなる時が来る。
 その時のために今から備えをしておきなさい」

「月額の報酬が固定だと損だと思うかもしれないが、
 逆に固定だからこそ早く終わらせようとする意識が働くのだ」

細かい表現は違うかもしれませんが、
そういう趣旨のことを言われたことは覚えています。

old_rusty_clock

大量生産の工場であれば
ラインが稼働しているだけ生産ができることになりますので
従事する工員に、従事した時間だけ支払うというのは
ある意味妥当です。

一時期、作れば売れるという時代があったと聞いていますが、
特に創意工夫が必要ない単純労働であって
生産=売上(もしくは利益)という前提であれば、
時間に対して報酬を支払うということは
成果に対して報酬を支払うこととほぼ等しいと言えます。

ところが、そのモデルを
創意工夫――つまり考えて仕事をすることが求められる
部門にも適用してしまっているところに問題がありそうです。

頭脳は機械と違って活動が安定しないので、
一日の中でも成果の出やすい時間帯と
出にくい時間帯があります。

そして頭脳を持続的に活動させるには
機械以上に休ませる必要があるため、
休まずに働いていると生産能力が目に見えて落ちてきます。

つまり、頭脳労働(知識労働)では、
稼働時間に比例して成果が出るということはありません。

その前提で、
稼働時間に応じて報酬が支払われるのが良いか。
それとも成果に応じて報酬が支払われるのが良いか。

どちらが良いかというのは一長一短がありますが、
個人的には時間よりは成果に対して
報酬をいただけた方が嬉しいなと思います。

そして、少ない稼働時間で
求められる成果を出すにはどうすればいか。
その創意工夫こそが生産性の向上につながるのだと考えます。

ただ、成果は長期的に見ないと評価できないものもあるので
単月の指標として稼働時間を使うというのは
必要悪という側面もあるのかもしれませんね。



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