プロジェクトの目的を意識したWBSの作り方(前編)

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

スケジュール表のゴールは
プロジェクトの目的と一致するのでしょうか。

これまでに何本か
WBSの作り方に関する記事を書いてきましたが、
今回はプロジェクトの目的について
掘り下げて考えてみたいと思います。

何故こんな問いを考えるのか。
それはプロジェクトのWBSを作る時に
私も迷うことがあるからです。

プロジェクトを計画する時にWBSを作ります。
WBSのルート(根)はプロジェクトの最終成果物です。
しかし最終成果物を分解していって
スケジュールを当てはめようとすると
ハタと気づくことがあります。

それが冒頭に掲げた問いです。
「プロジェクトの目的は
WBSのルートと一致するのか」
と言い直しても良いでしょう。

ビジネスであれば
式典の開催、研修会の実施、建築物の建設、
情報システムの構築などが、
一般的にプロジェクトとして
思い浮かべることができます。

が、ビジネスに限らず、
旅行、パーティ、受験、結婚式、引越しなど
日常のあらゆることは性質上
プロジェクトとみなすことができます。

例えば以下の表のように
目的と手段を整理することができ、
目的を手段に分解して
手段をスケジュールに落とし込むわけです。

ごく普通に行われていることではないかと思います。
そのいずれの名前もプロジェクトの目的を
表していると考えられますが、
私が考えているのは、その目的は
本当の目的なのだろうかということです。

例えば、旅行プロジェクトだったら
「旅行が目的に決まっているじゃないか」
と普通は思います。
でも、本当は旅行に行くことで
日常を離れてリフレッシュすることや
見知らぬ土地を訪れて見聞を深める
といった意図が背後に有ったりします。

個人的には、
プロジェクトの目的は
そのように設定すべきだと考えています。
旅行に行ってもリフレッシュできなかったら
目的を果たしたと言えるでしょうか。
プロジェクトは成功したと言えるでしょうか。

プロジェクトの名前として表れている目的
そしてWBSに表れている手段の前に、
「意図する(こうなりたい)」
という段階が隠れています。

そうなると、
上の表で「目的」に書いたものは行動(活動)であり、
実は本当の目的に対する施策
の一つに過ぎないことが分かります。
そして「手段」に書いたものは、
実は行動を始めるための準備に当たります。

多くのプロジェクトの場合、
ゴールとして設定されているものが
実は活動の準備ができた状態(readiness)
を指しています。

そしてそれは、WBSの最終成果物(旅行)から
1階層ブレイクダウンした中間成果物の
準備ができた状態を意味しています。
(宿や切符の手配など)

ですので、WBSを作るに当たって、
その2階層目の中間成果物単位に
更にブレイクダウンして
スケジュール化すれば良いことになります。

大きなプロジェクトの場合、
その2階層目の中間成果物ごとに
サブプロジェクトに分割します。

プロジェクトの目的はあくまでも
活動を通して得られるものであり、
活動できる状態にすることが
当座の目標となるのです。

尚、スケジュールとしては
活動を始める状態になるまでと、
活動を始めてから目標を達成したかどうかを
評価するまでのものに分かれます。

そして通常私たちが必要としている
スケジュールは前者のものになります。
つまり、まず作らなければいけないWBSとは、
「準備しなければならないものを細分化したもの」
ということになります。

準備が出来てしまえば、
あとは活動するだけなのです。
旅行の準備さえできれば、
後は旅行を楽しむだけなのです。
旅行が楽しいものになるような準備を
私たちは考えて行けば良いのです。


参考までに「XYZ分析」をご紹介します。
「これは『Zを達成するためにYによってXを行う』活動である」
という形式で目的を表現する書式ですが、
ちょうどZが目的、Yが手段、Xが活動に該当しています。
(参考サイト)何を達成するため?何によって?何を行う?


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