リスク管理の勘所――洗い出したリスクの整理法

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

前々回の記事では、
リスク管理の第一歩として
リスクの一覧表が必要だという話をしました。

そして、前回の記事では、
ただ一覧を作るのではなく
管理できる数にリスクを絞り込む方法をご紹介しました。

今回は、また別の方法で
リスクを絞り込む方法についてお話しします。

前回ご紹介した手法は、
一つのテーマまたはカテゴリに対する
リスク分析には有効ですが、
複数のテーマやカテゴリに跨る場合、
全体をうまく整理できないかもしれません。

その場合は無理にツリー状にしようとせず、
一覧の状態で整理していくことを考えます。

ところで、リスクを列挙する時に
企業内や業界内で蓄積された
チェックリストを用いる場合があります。
もちろんそれも有効です。
ただ、それだけでは不充分です。
一般的なリスクはそれで洗い出せるかもしれませんが、
プロジェクト固有のリスクは
見過ごす可能性があるからです。

プロジェクトの置かれている状況や
これまでと異なる前提条件など、
そのプロジェクトならではの要素が
必ずあるはずです。
(だからこそプロジェクトなのですが)

また、チェックリストは過去の蓄積であるため、
リスクを洗い出すために使うというよりは、
リスクの芽を予め摘み取るために使うものです。

つまり、チェックリストに掲載されているリスクは
プロジェクト固有のリスクを分析する前に
事前に自己点検などを行って対処しておくべきで、
本格的にリスク分析を行う際は
プロジェクト固有のリスクを中心に
分析を進めた方が
効果が高いと考えています。

(1) リスクと思われるものを列挙する

以上を踏まえてリスクを列挙する場合、
多くの場合はブレインストーミングを行います。
メンバーが少なければ一堂に会して実施しますが、
メンバーが多い場合、
特に複数の部門や組織にまたがって
プロジェクトが構成されている場合は
まず部門ごと組織ごとに
ブレインストーミングを行い、
最終的にそれらを集約します。

リスクを列挙する時に大切なことは、
「リスク」という用語に囚われずに
心配なこと、不安に思っていることを
どんどん列挙してもらうことです。

「こんなこと言ったらバカにされるのではないか」
「細かすぎて心配性だと思われないだろうか」
「既に他の誰かが言ってるかもしれない」
などと考えてしまうかもしれませんが、
そういうものも全て書き出すことです。

躊躇して挙げなかった項目が、
結果的に重要なリスク要因だった
ということを防ぐためです。

(2) 列挙したリスク候補を整理する

そうやって列挙されたものは
当然重複があったり、
粒度にバラツキがあったりします。
それらは一旦取りまとめた後、
コアなメンバーで整理を行います。

整理の仕方として、
重複しているもの、
類似しているものは集約します。
粒度が細かすぎるものについては、
一段階抽象化した表現に変更します。
その結果、集約できるものが出てくるかもしれません。

後は、前回ご紹介したように、
因果関係が連鎖しているものがあれば
中間の項目を省略することができます。

(3) 既に顕在化しているリスクを選り分ける

そうやって絞り込んだリスク候補の中に、
実はもう顕在化しているものが
紛れている可能性があります。

リスク管理というのは、
不確実性と折り合うためのプロセスです。
顕在化したら困る要因に対策を施し、
顕在化していないかをモニタリングし、
顕在化した場合に計画通り行動する
という手順を取ります。

なので洗い出した時点で顕在化しているものは
通常の課題として対処しなければなりません。

ここでの手順としては
顕在化しているものを選り分け、
課題管理表に移管します。
課題に移管したリスク候補を取り除き、
残ったものが管理対象のリスクとなります。



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