リスク管理の勘所――定性評価から定量評価へ

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

このところずっと
リスク管理の話を続けてきたので
そろそろ飽きておられる読者も
いるのではないかと推測しますが、
今回で一旦総括したいと思います。

これまで、リスクの特定、
そして因果関係で整理する
分析の話を主にしてきました。

リスクアセスメントの最後は
リスク評価です。
アセスメントという言葉に
「評価」という意味が含まれています。
ここでは、リスクがどれだけ顕在化しやすいかの度合いと
リスクが顕在化した時の影響度合いを評価し、
そこからリスク対応の優先度を決めていきます。

教科書的には、
それら発生確率と影響度を点数化
――それぞれを2段階(大小)、
もしくは3段階(大中小)で評価――し、
その掛け算で導き出した点数の高いものから
優先的に対応していくということになります。

発生確率と影響度を評価してしまえば、
優先度を決めるのは機械的な作業となります。
なので、ここでは
発生確率と影響度の評価が
カギとなるポイントです。

どちらから始めても良いのですが、
影響度の方が分かりやすいので
先に影響度の話をします。

影響度というのは
このリスクが顕在化、
つまり現実のものとなった場合に
どのような影響があるのか、
そのインパクトの度合い
ということになります。

プロジェクトの場合ですと、
品質・予算・納期の目標(いわゆるQCD)
のいずれかを妥協せざるを得ない状況
と考えるとわかりやすいと思います。

大切なのはどのくらいの影響だったら
何点なのかを明確にしておくということです。
予算がいくら以上超過が見込まれるなら影響大、
いくら未満の超過なら影響小とか、
納期が何日以上超過が見込まれるなら影響大、
何日未満の超過なら影響小といった具合です。

具体的な数値をいくつにするかというのは
組織によって異なると思いますが、
理想はそれぞれの点数に割り当てられる
項目数が均等になるような
境界値を設定することです。

時間がないときは
「えいや」でも仕方がないと思いますが、
できるなら検討する時間を確保して
納得する評価に落とし込んでいきたいものです。

次に発生確率ですが、
基本的な考え方は同じです。
過去の傾向から
どの程度発生しうるかどうかを
具体的な境界値を決めて評価します。
組織内で参考になる情報がない場合は、
検討メンバーの常識に
頼らざるを得ないでしょう。
そのような場合は
様々なタイプの有識者を集めて
ブレインストーミングすることを
お奨めします。

いずれにせよ、
対応するリスクの
優先度を決めるというのは、
感覚的な定性評価から
ロジカルな定量評価に
落とし込むプロセスなのです。
その活動を通して、
「何となく不安」という状態から
解放されるのです。

最後に、余談となりますが、
発生確率を評価している時に、
実はそのリスクが既に顕在化していた
ということに気づく場合があります。

その時、該当のリスクは
何かしらの対応が必要であるため
リスク管理の対象から外し、
課題管理の対象とします。

課題管理の対象にするということは、
具体的な課題が何であって、
誰がいつまでに対応するかを決めた上で
粛々と解決していくという
プロセスに移行するということです。



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