正しい問題の出方

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

問題が発生すると大騒ぎする人たちがいます。
しかし、全ての問題が騒ぎに値するかというと
そういうわけではありません。

先週、台風15号が関東地方を襲い、
大きな被害をもたらしました。
今でもまだ一部の地域で
停電が続いているということを考えると、
その被害の大きさが
今までにないものであることが分かります。

その台風来襲に際して、
JR東日本が9/8(日)に
翌日(9/9)午前中の計画運休を発表しました。
私の小さい頃は、このような
事前の運休を発表したという記憶が
私の中になかったため、
それを知って私は
これは本格的にまずい台風だと感じました。

このように事前に発表してくれるのは
ありがたいなと思っていたら、
アメリカ在住の作家・冷泉彰彦氏は
ご自身のメルマガの中で
「計画運休は失敗だった」
と述べています。

JR「計画運休」の大失敗。台風直撃で露呈した低スキル首都・東京
(冷泉彰彦のプリンストン通信)

最初はどうして失敗なのだろう
という疑問が湧きましたが、
読んでいくうちにその謎が解けました。

これは、平日に稼働する多くの学校や企業を
念頭に置いているのだと思いますが、
要は、休日明けの運休は前営業日に発表しないと
組織としての有意な意思決定ができないという指摘です。

また、復旧前後の駅の混雑状況がひどく、
特に入場制限がなされたことから、
復旧見込み時刻についても、
やや楽観的な設定だったのではないか、
思い切って午前中いっぱいは
運休にしても良かったのではないか、
とも指摘されています。

ところで、私の師匠の口癖として
「正しい問題の出方」
というのがあります。
支援している組織において問題が発生すると、
次のような発言をしていました。

そのようなやり方をしているのだから
当然そういう問題が発生する。
これは正しい問題の出方なんだ。

問題が発生するのには
必ず理由があるので、
問題が出たことを攻めてもダメ。
こうしたらこうなるといったものを
できるだけ多く想定して
そうならないよう
行動を改めていく必要がある
ということになります。

私たちは兎角、自分たちに課されている
最低限の責任を果たせばよいと考えがちです。
しかし、私たちのある行動や意思決定が
関係者にどのような影響をもたらすか、
相手の立場に立ってイメージすることが
必要だということです。

今回の例では、企業活動に与える影響を
極小化したいという
JR東日本側の思いも透けて見えますが、
利用者からすると
徐々に時間が後ろにずれていくよりは、
最初から悲観的な設定にしてもらった方が、
利用者としても腹をくくりやすいと思いました。

私の師匠も
常に想定して先回りすることの重要性を
口癖のように説いていました。

私たちは子供からいきなり大人になることはできません。
様々な失敗を繰り返しながら成長していきます。
成長の過程で発生する問題は、
それ自体は無い方が良いのかもしれませんが、
発生することはやむを得ないものと受け止めるべきです。
問題が表面化したからと言って嘆くべきではなく、
現時点ではある意味当然と考えて
そこをバネにして成長することの方が大切です。
失敗を恐れるのではなく、
二度と同じ失敗をしないという決意を持ち、
また、他人の失敗にはあくまでも
寛容な心構えでいたいと思いました。



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