「話は最初のひと言で決めなさい」吉田たかよし 著

本書は10年くらい前に買った本ですが、そもそも何で買ったのか当時の背景は忘れてしまいました。私は人前で話すことに苦手意識を持っており、コンプレックスを抱いていたからかもしれません。今回、本棚の整理をしていて捨てるかどうか判断するためにもう一度読んでみることにしました。

著者は元NHKのアナウンサーということで言ってみれば話すことについてのプロフェッショナルです。またNHKを退職してフリーのアナウンサーになるというケースが多い中、著者は政治家の秘書を経て医者になったという異色の経歴をお持ちです。

私がこれまで出会った方々を見ていて、確かに話の上手い下手というのはあると思います。しかし著者は、弁が立つ(=話が上手い)人ほど言いたいことが伝わりにくいと述べています。なぜなら、自分は話が上手いと思っている人は困難な状況に対して口先でごまかしてしまうからだと言います。話が流暢で長い割には中身が無く、聞いている方も時間を奪われ、体力も気力も消耗します。

逆に口下手な人は、それができないので、どのように伝えたら伝わるかということを真剣に考えることができるのです。その考え抜いた結果がタイトルにもある「最初のひと言」だというのです。ただ、「最初のひと言」というのは少し極端な表現にも聞こえますが、「最初の15秒が勝負」だと著者は述べています。何故でしょうか。

ところで、多くの人がSNSを始めた頃はタイムラインに流れてくる記事を1つ1つ丁寧に読んでいませんでしたか。そして、友達やフォローの数(繋がりの数)が増えるに連れ、流れてくる記事の量が増えてくると流石に全ての記事を読むことを諦めざるを得ない状況になっていることもまた現実としてあるのではないでしょうか。

また、幼少の頃は、新聞は最初から最後まで毎日熟読するものだと思っていました。しかしそれではいくら時間があっても足りませんよね。後になってから、新聞というのは見出しだけ見て気になる記事だけを拾って読むものだと知りました。つまり、「最初の15秒」とは記事の見出しの役割を果たし、それにより、その話は聴く価値のある話かどうかを判断するのです。

本書はタイトルの割には内容が散漫な印象を受けますが、著者がアナウンサー時代に培った「すぐにでも使える具体的で実践的なテクニック」が豊富に掲載されていますので、プレゼンテーションやスピーチの腕を磨きたい人にはお勧めです。


書名:話は最初のひと言で決めなさい
副題:長い話じゃ人は聞かない
著者:吉田たかよし
発行:中経出版/2004年2月19日
ISBN:4-8061-1971-7

自分はICとしてイケているか

日付が変わってしまいましたが、昨日15日はIC協会の月例セミナーがあり、参加してきました。実は今年初参加だということに直前で気付きました。今回のテーマは「キャリア転職のプロに聞く、企業が働きたいプロワーカーの条件 ~イケてるIC・イケていないICとは~」と題して、IC協会の立ち上げにも携わった丸山貴宏さん(株式会社クライス&カンパニー代表取締役)が登壇されました。

丸山さんはずっとキャリア採用&転職のコンサルタントとしてご活躍され、そのご経験を踏まえICとしてやっていける人の特性、やっていけない人の特性について事例を交えながらズバリ解説していただきました。様々なテーマがありましたが、ここではその中の一部をご紹介します。

企業がICを使うことのメリットはいくつかあると思うのですが、その一つとして専門性が挙げられます。私自身も最初はそうでしたが、自分に自信が無いとどうしても「何でもできます!」というアピールになりがちです。実際に何でもできて何でもやれるとしても、それをそのまま表現したところで特徴が見えず、受け手にとってはまったく刺さりません。(一方で、採用する側もまるでスーパーマンのようなハイスペックでオールマイティな人材像を描くこともありますね。)専門性というのは「○○だったらこの人」のような尖がった部分の事。まだまだ途上ですが、常にブランディングを意識して活動していきたいと思います。

今回の講演とその後の懇親会を通して伺ったお話は、最近読んだ本、そしてかつて読んだ本の内容とも重なっており、それぞれは全く異なる出自のはずなのですが全てつながりまして、特に最近はそのことに驚いています。どういう人が成功するのか、そしてどういう人が失敗するのか、やはりそれぞれ共通点があるようです。例えば、リアルに思い描いたイメージ通りに物事が実現していくということ。逆に思ってもいないことは実現しないということです。丸山さんも「潜在意識ってやっぱりあるんですよね」とおっしゃってました。そのことについてはいずれまた書きたいと思います。

 


丸山さんの記事がダイヤモンド・オンラインで読めます。
「転職で幸せになる人、不幸になる人」
http://diamond.jp/category/s-mtenshoku