引き受ける責任、断る責任

組織の中にはいろんなタイプの人がいますが、頼まれた仕事を何でも一つ返事で引き受けるというタイプの人がいます。そして一般的にはそういうタイプは人一倍責任感が強く、仕事熱心だと思われているふしがあります。ところが安易に仕事を引き受けた結果、仕事が回らなくなって周囲が苦しくなってしまうというケースも見受けられます。

私も、かつては頼まれた仕事を一つ返事で引き受ける方が責任感が強いと漠然と考えていました。でもある時から、実は全く逆なのではないかと思うようになってきました。

確かに何でも頼まれた仕事を引き受ける人は、仕事を頼む方から見れば非常に頼もしい存在です。だから周りの人が次から次へとその人に仕事を頼みます。しかし一人でこなせる仕事量はたかが知れていて、だから部下に仕事を回すことになります。仕事を回した分、自分の手が空くので更に仕事を引き受け…そして部署全体が飽和してしまうのです。すると、期限に間に合わないか、間に合っても品質の悪い仕事が増えてきて、仕事を頼んだ方は次第に不満を募らせるという結果を招きます。頼んだ方が文句を言おうものなら、頼まれた方は悪びれるでもなく「成果が出ないのは次から次へと仕事を頼んだ方が悪い」という態度を取ってしまいがちです。

一方、頼まれた仕事を全て引き受けるのではなく、内容を吟味した上で引き受けたり引き受けなかったりする人は、仕事を頼む方から見ればあまり面白くないかもしれません。しかし断る時は、依頼された仕事を高い品質で納めることができないと判断したから断るのですし(いや、単純にやりたくないというケースもないわけではないですが、気分が乗らなければ品質も落ちますよね)、引き受ける時も、依頼された仕事を高い品質で納めることができると判断したから引き受けるのだと思うのです。だからこのタイプの人が引き受けた仕事は品質が高いし、成果が出せなかった場合でも頼まれた方は「成果が出ないのは自分の力不足だ」という態度を取る傾向にあり、最後まで誠意を持って対応できるのではないでしょうか。

仕事を「引き受ける」ことと「成し遂げる」ことは全く違いますよね。一度引き受けたことは最後まで成し遂げるというのは当たり前のことです。自分に出来そうかどうかを精査しないで、むやみに仕事を引き受けることはむしろ無責任な行為なのではないでしょうか。


「自立した契約者? それってどんな仕事なんですか?」

昨日、日経ビジネスオンラインにIC協会・理事長の田代さんのインタビュー記事が掲載されました。主な内容は田代さんの専門でもある労務関連の話題から、インディペンデント・コントラクターという働き方についての説明まで、非常にわかりやすく噛み砕いてお話をされています。

冒頭は多くの人に関係すると思われる「非正規社員の契約が更新され続けて5年を経過すると、その人から申し出があれば正社員にしなければならな」くなった労働契約法の改正の話題で読者を掴みます。関係するのはもちろん非正規社員として働いておられる方、そして非正規社員を雇っている方です。

しかしそれだけにとどまらず、経済のグローバル化によって今の正社員でさえも安泰とは言えない状況になってきていると指摘されています。要は誰でもできる仕事をする人になるのか、誰にも真似できないような仕事をする人になるのかという分岐点に立たされているのですね。最近は年収の二極化も話題になっています。正規であれ非正規であれ、稼ぐ人になるためにはそれなりに専門性や視野の広さを身に着け、何かに突出する必要があるということでしょう。

私も以前、ICという働き方について講演をしたことがありますが、まだまだ認知度は低い。もちろんICという言葉を知らなくてもすでにICの働き方をしていたり、会社員であってもICのマインドを持ってお仕事をされている方もいらっしゃいます。今後もリストラによる希望退職、整理解雇というのは続いていくでしょうが、もしご自分がそういった局面に立たされた時に、ICという働き方を次のステージの選択肢に含めてはいかがでしょうか。また違った世界が開けてくると思います。

まずはリンクの記事を通して読まれることをお奨めします。


「自立した契約者? それってどんな仕事なんですか?」
田代英治・インディペンデント・コントラクター協会理事長に聞く
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130621/250039/

ブランチ事例を発表させていただきました

昨日21日(金)に西新宿でTOCfEの月例勉強会に参加いたしました。今回の事例発表はクラウドが2名、ブランチが私を含めて3名でした。

今回なるほどと思ったのは、自動製氷機のタンクに浄水を入れてはいけないというブランチ。私は何も考えず(もちろん冷蔵庫の取説も読まず)浄水をせっせと汲んでいたので、今度からは水道水を入れようと思います(笑)。とはいっても実は、これはまずいのではとうすうす感付いてはいました。だって氷がいっぱいの時はタンクの水が全然減らないんですから。

さて、一方で私が発表したブランチは、私が過去に実際関わったシステム開発のプロジェクトにおけるUDE(UnDesirable Effects)についての原因を追究するというもの。皆で大変な思いをしてなんとか終了したプロジェクトですが、その後の公式な反省会を踏まえて私が個人的に作成したものです。全体を一つのブランチにすると大きくなり過ぎるので、生産性、品質、マネジメントという3つのテーマについてそれぞれブランチを作成し、今回は生産性についてのブランチを発表しました。全部で3回のシリーズで発表させていただく予定です。

私はもちろん全体像を知っている状態で発表しているのですが、聴いている参加者の皆さんは最初のブランチしか見せられていない状態だったので、かなりもやもやさせてしまったようです。「なぜ3つに分けたのか」という質問も受けましたが、この勉強会は参加者がそれぞれ課題を持ち寄るので時間が限られており、かつ、この勉強会で発表することを前提にしていたので最初から分けてしまったのです。次回はその全体を俯瞰した図を1枚追加しようと思います。

ブランチは、作っているときは自分の中でうまくつながっているように思えるのですが、やはり状況を知らない(つまり余計な情報を持たない)人に見てもらうことで、論理的につながっているかどうかを純粋に検証できますね。


好きなことをやって一人でも食べていくには?

今日はIC協会の月例セミナーが開催されまして、参加してきました。今回は「一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」というテーマで、「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか…」という書籍の著者である山口揚平氏がご講演をされました。

今回はタイトルのせいもあってか、IC協会の会員と非会員の比率が半々くらいで(いつもは会員の方が圧倒的多数なのですが)、やはり多くのICの人にとっては「俺はもう一人で食えてるし、関係ない」と思っておられるのだろうかと考えてしまいました。まあ、それは穿った見方だとしても、最初の問いかけで、参加者の中に独立していないし独立する予定もないという方が半分くらいいたのは事実です。

山口氏は活動している分野が私とは全く違うのですが、私と同い年ということもあって勝手に親近感を抱いてしまいましたし、起業家といっても非常に冷静で誠実な人柄を感じ、好印象を持ちました。同じ時代を生きてきたからかお話の一つ一つに共感でき、実は著書について全く予習もせずに参加してしまったのですが、にもかかわらず特に気づきという意味合いにおいて大変有益なお話しを聴くことが出来ました。話し方も論理的かつ哲学的だったためか少なくとも私にとっては理解しやすかったです。

山口氏に対して好印象を抱いた別の理由は、やはり起業しているのに成功体験を強調した話ではなく、むしろ失敗体験が多かったという点。また、いくつかの失敗があったにもかかわらず、ご自分の信念というか軸がしっかりしているために自然と次のステップを見出しているという点でしょうか。また調子の波があったり、悩むこともあると正直におっしゃった点も(当たり前のことかもしれませんが)好印象につながりました。

起業家のお話は、タメになる部分や元気づけられる部分もありますが、成功体験ばかりだと自分とは違う世界の人だみたいに思ってしまうところもありますよね。でも実際には悩むこともあるし、調子の悪い時もある。良い意味で開き直れるそういった謙虚さというのはこれからも忘れずにいたいと思いました。

正直なところ山口氏の話は(会社員時代はM&Aをされていたそうなので)スケールが大きくて、個人的にはまだ消化しきれていないところもあるのですが、「今一番流行っているメディアを選ぶ」というお話はそのとおりだと思いますので、肝に銘じて実践していきたいと思っています。


ミニ・コンサルティングの「ITかかりつけ医」サービス開始!

先日の「情報システム・ドック」に続く新サービスとして「ITかかりつけ医」を開始しました。

http://www.crossidea.co.jp/services/doctor.html

社内にシステムに詳しい人がいない場合、この見積は高いんじゃないかとか、ベンダの言いなりになっているんじゃないかとか、様々な疑問を持ちながらも適切な判断が出来ないということがあります。また、ベンダにRFPを出したいんだけど内容として不備が無いかとか、ベンダから出された仕様書の内容に抜けや漏れが無いかとか心配になるものです。かといってシステムに詳しい人を専任で雇うほどの仕事も余裕もないというのが現実ではないでしょうか。そんな時、ITのプロとしてITに関する様々なご相談に乗ります。

「かかりつけ医」を和英辞典で引くと primary care doctor と出ています。何か調子が悪いかなと思ったらまず診てもらう町医者です。もしそこで処置が出来なければ他の専門医や大病院を紹介するように、当社では担えないご相談についてはより高度な専門家・専門業者をご紹介いたします。また、他の専門家や専門業者の提案に対するセカンドオピニオン(第三者による参考意見)を提供しておりますので、判断に迷う時など気軽にいつでも相談できる町医者のような感覚でご利用いただけるサービスです。

このサービスは元々「ITリベンジ」のサービスプランの一つとして用意していたものを、いわゆるスピンオフによって独立したサービスとして切り離したものです。一口にコンサルティングと言っても様々で、特にこういったことで困っている中小企業が多いのではないかと考えました。

尚、情報システム・ドックは無料のサービスですが、ITかかりつけ医は有料のサービスでサービスプランをいくつか用意しております。標準料金も設定してありますが、状況やご要望に応じてカスタマイズ可能です。お気軽にお声掛けください。

どうぞよろしくお願いいたします。


株式会社クロスイデア ITかかりつけ医サービスのご案内

他人のモチベーションをどう高め、維持するか?

日付が変わりましたが、昨日7日はJSDGの東京ミニ研修会が開催され、参加してきました。東京ミニ研修会というのはJSDGの東京のメンバーを中心に会員と会員の紹介の方向けの短時間の研修会で、年に4回の開催が計画されています。

今回の講師は会員の満川さん。ご本人は経産省の情報処理技術者試験が大好きで受験回数が30年で50回を超えたのだとか!その情報処理技術者試験の受験を継続できているという事実を題材にして、モチベーションをいかに維持するかというテーマで成功体験や失敗体験を交えてお話しくださいました。

最後はグループ別に「部下に情報処理技術者試験を受けさせるためにはどうしたら良いか」という仮想のテーマ設定でディスカッションを行いました。私のいたグループでは随分と議論が発散してしまいましたが、最終的な講師のまとめとしては「対人」なのでモチベーションの高め方は人それぞれで、例えば褒めるにしてもどう褒められたらモチベーションが高まるかというのは個人差があるというわけです。

そういう意味では特効薬というか「これだけやれば」みたいなのは正直存在せず、一人一人個々別々に対応していかなければならないという地道で気の遠くなるような話でもあるわけです。でも、考えてみたら人を育てるというテーマがもしもっと単純なものであれば、ここまで世の中で育成ということがテーマになり得なかったはずなんですよね。そういったことに改めて気づかされた研修会でした。


拙作ソフトがVectorに登録されました!

「クロスラボラトリー」ブランドの実績第一弾として、Windowsの.NET framework上で動作するアプリケーションを作成し、フリーソフトとして公開していましたが、この度、日本で最大級のソフトウェアライブラリであるVectorでも公開を始めましたのでお知らせいたします。

クロスラボラトリーというのは弊社の前身である個人事業主時代の屋号です。ソフトウェアの会社を離れ個人事業主として独立して10年目となりますが、古くからお付き合いのある方にとってはお馴染みかもしれません。やはり過去の屋号とはいえ愛着があるもので、クロスイデアとしてはコンサルティングやIT人材の育成をメインに据えたということもあり、弊社の「研究開発部門」のブランドとしてクロスラボラトリーの名称を今後も使っていこうと考えたのです。

一方、Vectorは大学生時代から15年以上利用させていただいているサイトで、今でもお世話になっております。そこで出会ったソフトウェアは数知れませんが、今回その仲間に加えさせていただくことが出来て大変光栄に思っております。とは言ってもやっていることはそんなにすごいことではないのですが、個人的には感慨深いものがあります。大学の研究室であるミニゲームをVectorからダウンロードして息抜きに遊んでいたのですが、社会に出てからあるプロジェクトで一緒に仕事をしているメンバーがそのゲームの作者だった、ということもありました(笑)

今回登録されたアプリケーションは以下の5個です。ちょっとしたツールなので全ての方に使っていただけるようなものではありませんが、お使いになれる方は是非一度お試しください。