ドキュメントの色使いと心配り

いつからドキュメントをフルカラーで印刷するようになったのでしょうか。このことについて最近ふと気になっています。というのも、カラーで印刷しなければ情報が伝わらないドキュメントってイケてないよなぁと感じるようになったからです。それは何も色覚異常の方に対する配慮とかそういった論点では必ずしもなく、ドキュメントをカラー化することによって何か自分自身が手を抜いているのではないかという類の疑問です。

もっとも私が社会に出たばかりの頃は、ドキュメントをカラーで印刷するということはほとんどなく、オフィスにもレーザーカラープリンタはまず置いてありませんでした。良くてインクジェットのカラープリンタが置いてある程度でしたが、それでもペコッペコッと1ページを何分もかけて印刷するような始末で、余程営業用途で得意先に渡す資料を厳選してでないと間に合わないような状態でした。

それが数年後あるクライアント先で、私の在任中にレーザーカラープリンタが導入され、20~30代の若い社員たちが多い職場だったせいもあるかも知れませんが、こぞってドキュメントで豊富に色を使ってはカラー印刷を行っていました。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、カラー印刷はモノクロ印刷と比べると単価が高いのです。たちまちその会社から、カラー印刷は営業用途に限るように通達がなされました。当時は納得がいかない思いもありましたが、企業としては当然の判断ですよね。

話を戻して、カラーで印刷しなければ情報が伝わらないドキュメントの欠点は何かということについて考えてみると、印刷する人にカラー印刷を強いるという点。そうでなくても、モノクロ印刷をすると情報が劣化するという点。そして、それを補おうとするとドキュメントを修正しなければならないという点です。印刷したものを配布する場合にはじぶんでカラー印刷してから渡せばよいのであまり問題になりませんが、電子データを配布する場合は、それが印刷する可能性があるのであれば考慮しなければならないポイントだと思います。

何故私がこんなことに疑問を持ち始めたか。それは、モノクロ印刷したドキュメントを提示されて、「ここは本当は色分けしてあるのだが」といった説明を何度となく受けてきたからです。提示される立場としては、色が情報を持つならカラー印刷して提示すべきだし、カラープリンタが無い、あるいはカラー印刷を制限されているのなら色に意味を持たせないような資料の作り方をすべきだと思ったからです。私は先に述べた理由で後者の方が好感を抱きます。

今後ドキュメントを作成する時はそういった点を意識しようと思っていますが、もちろん全てのドキュメントがそうであるべきだというつもりはなく、用途や目的に応じて使い分けて良いのです。作成するドキュメントがどういう使われ方をするか、誰の手に渡るのか、いつまで使われるのかといった点も、ドキュメントの色使いを決める上での判断ポイントになるのではないでしょうか。


かんばんボード(タスクかんばん)のレーン設計

以前、かんばんボードを導入する肝はレーンの設計にあるということを述べたのですが、では具体的にどのようにレーンを設計すべきかというテーマについて考えてみたいと思います。

レーンとレイヤーのイメージ

レーンとレイヤーのイメージ

その前に、レーンをさらに横のレイヤーに区切って使うかどうか迷うと思いますが、個人で導入する場合はともかく、チームで導入する場合にはレイヤーに区切った方が良いです。また、区切るとしてもメンバー毎のレイヤーとするか案件毎のレイヤーとするか迷うのですが、案件毎にした場合、時間の経過による案件の増減に合わせてレイヤーを増減させなければならず、それはそれで運用に手間がかかります。メンバー毎のレイヤーにしておけば案件の増減に比べればメンバーの増減は少ないと思いますので、比較的手間はかかりません。それとメンバー毎としておけば、メンバーの生産性と抱えている作業量についてもある程度可視化できるので、チーム運営はしやすくなります。

そうはいってもメンバー毎のレイヤーにすると、案件ごとの状況が見えなくなってくることがあります。(だから案件毎のレイヤーにしたいという衝動に駆られるのですが。)私はタスクかんばんは目の前の仕事を片付けるためにチーム運営を円滑化するツールだと理解しているので、案件毎の進捗管理などはWBS(ガントチャート)のような全体を俯瞰できるツールを使って補う方が良いと考えています。

オーソドックスなレーン設計はToDo、Doing、Doneです。ToDoはやるべきことで未着手のタスク、Doingは現在仕掛中のタスク、Doneは仕上がったタスクです。タスクを付箋に書き出し、ステータスが変化するごとに貼るレーンを変えていきます。あるいはチーム内で完結する現場であればこれだけで事足りてしまうかもしれません。週次でマイルストーンを決めてToDoに落とし込み、週末にToDoが全て捌けてDoneに移動していればよいのです。週末(または週の頭)にはチームでミーティングを行い、翌週(または今週)やるべきタスクを棚卸してToDoに貼り付けていきます。

しかし、業種業態や活動の目的によってチーム外の関係者の多少が違うので一括りには出来ません。チーム内だけで完結しない場合、先ほどの3つのレーンだけでは管理できない局面があります。それは、チーム外の関係先に依頼するような場合、こちらの都合ですぐに返事があるわけではありません。つまり相手のタスクが終わるのを待っている状態、自分ではなく相手がボールを持っているということを表現する必要があります。そのタスクを例えばWaitingのように表します。

また、逆にチーム外の関係者から依頼を受けるパターンや、自分が完遂した作業を確認してもらったり承認してもらったりするパターンがあると思います。既に自分の手を離れていて、最後の確認や承認を待っているという状態です。そのタスクを例えばFinishingのように表します。ここまではメンバー毎のタスクです。