中小企業庁の「下請法違反」判定ロジックミスで通知誤送付

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

1月18日に、中小企業庁が、親組織である経済産業省のWebサイトにニュースリリースを掲載しまして、下請法に違反していない事業者に対して違反の可能性を指摘する文書を送付してしまったと発表しました。

「令和5年度下請事業者との取引に関する調査」の結果に関する通知文書の記載の誤りについて(2024/1/18 中小企業庁)

下請代金支払遅延等防止法(通称、下請法)という法律がありまして、事業者が業務を切り出して外部に委託する場合、不当に支払を遅らせたり、契約金額を勝手に減額したりしてはいけないというようなルールが定められています。ルールは他にもありまして、全部で義務が4項目、禁止事項が11項目あるんですけれども、ただルールを決めているだけではなく、それがちゃんと守られているかどうかを抜き打ちチェックしています。

弊社にも(毎年ではないようですが)何回か調査の書面が届いたことがあります。調査は毎年行っているようですが、調査対象の事業者は恐らく無作為抽出ではないかと推測しています。以前は解答用紙に記入して郵便で返送していましたが、近年ではWebサイトで回答することもできるようになっています。

そして、ニュースリリースによると、今年度(令和5年度)の調査において、事業者からの回答内容から、下請法違反の恐れがあると判定された事業者に対して例年通り「自主的な点検・改善」等の取組みを促す通知を行いました。ところが、その判定ロジックに誤りがあったために、違反の恐れがないにもかかわらず違反の恐れがあると通知してしまったケースがあるということです。

その件数が驚きなんですが、通知を行ったのが10,923件で、そのうち誤って違反の恐れありと記載してしまったケースが7,806件もあったと記載されています。中小企業庁では、その判定ロジックを見直したうえで、正確な通知文書を送付し直したそうですが、7割以上も間違っていたというのはちょっと間違え過ぎではないでしょうか。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


ニュースリリースの中では再発防止策が記載されていますが、その1番目に「判定ロジックを事前に十分検証すること」という項目があります。これは、裏を返せばちゃんとテストしていなかったということになります。全くテストをしなかったということは無いと思いますが、検討が不充分でテストケースが漏れたのかもしれません。ただ、7割以上も誤判定をしているということで、検討がかなり雑だった可能性はあります。

2番目の再発防止策として、文書を通知した件数の経年変化を、通知する前に充分にチェックするという趣旨のことが書かれています。これは恐らく、今年は例年に比べて通知件数がやけに多いなと気付くことで「もしかしたら判定ロジックが間違っているのでは?」という思いに至ったかもしれないということを書いているのだと思われます。ロジックのテストですり抜けた不備を、アウトプットを検査することで検知しようという発想です。

いずれにせよ、今回は通知した事業者からの問い合わせでミスが発覚したということですので、そういう対策が記載されているのでしょう。情報システムで自動化することのリスクがここにあります。以前は担当者が目視でチェックしていたものを自動化することで作業効率はアップしますが、間違いがあった時に気付きにくくなるという副作用があるということです。


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