人事の仕事は正しく評価されているか

今日はIC協会の2月度セミナーが開催され、参加して来ました。今回のテーマは『今、人事の世界で何が起こっているのか?』ということで、IC協会理事長の田代さんがご講演をされました。私は昔は「人事」というと「人事異動」のイメージしかなくて、まるで人材配置の全権を握っている部門であるかのように錯覚していましたが、そうではなく、ちゃんと採用とか教育とかあるいは給与計算みたいな細かい事まで面倒を見てくれる正に縁の下の力持ちなんですね。話を聞いているうち、人事部門は実はちゃんと評価されていないんじゃないかと私は感じました。

田代さんは人事畑では私の知り合いの会社の人事制度改革を推進されたほど実績のある方で、人事の世界とはまったく無縁の私にも分かりやすく近年のトレンドを解説して下さいました。10年一昔とは言いますが、10年も経つと人事に求められていることも移り変わっている。もちろんその変遷の中で相変わらず課題であり続けていることもあるのですね。いろいろお話を伺っていくに連れて、人事というお仕事に、自分が思っていた以上に魅力を感じました。

今日の参加者の中にも人事を専門として活躍されている方がいらっしゃいましたが、同じ人事を専門としていてもどういった層をクライアントにしているかという着眼点が異なっていて面白いなと思いました。一方で自分の事を振り返った時、ちゃんと絞りきれていないな、ブレているなという思いもよぎりました。もちろん完全に絞りきる事は難しいと思います。でも狙う方向によって戦略も変わってくる。私はITの分野で育ってきましたけれど、いわゆるIT屋とは趣が異なるなと思っています。ITといっても技術寄りではなく、IT人材の育成とか、ITリテラシの向上とか、人のためのIT活用とか、そういった切り口で活動して行きたいと思っています。そう考えた時、今日の人事の話とは無縁ではないなと感じたのでした。

たとえばIT人材の育成ということをテーマとした時、情報システム部門にかけ合うべきか、人事部門にかけ合うべきかといった疑問が生じてきます。そしてそれには画一的な答えは無く、おそらく会社における人事部門の位置づけによって変わってくるのだろうと思います。人事というのは会社の中でも間接部門に当たりますので、人事部員そのものの育成にパワーが割かれ難くなっているとか、会社によってきちっとしようと人材を補強する会社と、コスト削減のために少数精鋭でこなしている会社と二極化しているというお話がありました。このことについてはもう少し自分自身で考えていきたいと思います。


田代さんは最近若手の人事担当者向けの書籍を出版されました。

VE = アイデアを育て価値を高める手法

今月の3日・4日の二日間、VE基礎講座のセミナーを受けてきました。VEというのは、みなさんあまり馴染みがないかもしれませんが、バリュー・エンジニアリング(Value Engineering)のことで、製品やサービスを改善して価値を向上させる体系的な考え方の事です。私自身もVEの存在は去年知ったばかりなのですが、すでにVEリーダーの資格を持っていらっしゃる方の話を伺ったり、日本VE協会のサイトで調べていくうちに興味を持ちました。VEの体系は決して小規模ではないのですが、セミナーがワークショップ(グループワーク)形式だったのでとても理解しやすかったです。

製品やサービスの改善と聞くと、一般的にはコストの削減をまずイメージする方が多いと思いますが、VEの場合は単にコストを削減するということだけではなく「機能」をも向上させることで製品やサービスの価値を向上していこうというアプローチなのです。以下、私が感心した内容についていくつか述べたいと思います。

機能を定義する際のシンプルさ

「○○を○○する」という形で機能を表現します。その上で、ある機能にとって手段となる機能を下位に、逆にある機能にとって目的となる機能を上位になるようにツリー上に整理して行きます。なので自然とシンプルに分析されます。

機能へのコスト配賦

現状のコスト分析をする際に、単なる原価計算ではなく、定義し整理した機能ごとにコストを配賦します。そのことによってどの部品にではなく、「どの機能にいくらかかっているか」ということが見えてきます。

一見ダメと思えるアイデアを育てる

職場でブレーンストーミングなどを使ってアイデア出しをする場合、他人の意見を否定するというのはもっての外ですが、それでもアイデアに欠点があると分かると即座に棄却してしまいがちです。しかし、VEではアイデアに欠点があるのが当たり前と捉え、それを克服するというアプローチが手順に組み込まれているのです。これは強いと思いました。

如何でしょうか。VEはいろいろなことに応用ができそうな考え方です。元々は調達や製造段階で利用されてきたようですが、実際には間接部門やサービスにも応用されているとのことです。うまく取り入れれば元気が無い会社の活性化にもつながりますね。今回のセミナーでは製品が題材でしたが、今度はサービスをテーマとしたセミナーも受けてみたいと思いました。


社団法人日本バリューエンジニアリング協会
http://www.sjve.org/