「ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか」佐藤智恵 著

本書はラジオで紹介されて興味を持ち、その日のうちに購入してしまいました。何が私の興味を引いたのか、それはタイトルに掲げられている問いそのものよりも、本書が書かれた趣旨だと思います。もしラジオで中身について触れられなかったら手に取ることはなかったでしょう。以前であれば「ハーバードなんて関係ない」とスルーしていたかもしれません。

タイトルにある「仕事術」ですが、これは組織の中で「部下として」成果を出すためのスキルだと言います。一方、ハーバードビジネススクールで教えていることは「上司として」成果と出すためのスキルなのだそうです。上司としてというとなんだか小難しそうに聞こえますが、何のことはない「リーダーシップ」について教えているということです。当たり前のことですが、いずれも「読めば身に付く」という類のものではなく、実践して時には失敗しながら会得していくものだろうと考えます。

本書は全部で120項目について書かれていますが、見開き2ページで1項目についての解説が完結しているのでスラスラ読めます。この120項目がリーダーシップについて網羅されたリストだとは言っていませんが、「なるほどそうだよね」とか「え、そうなんだ」とか、自分に欠けているものに気付かせてくれ、今後の学びのヒントを得られます。

例えば社内政治。私の想像では(自分がそうだからそう思うのかもしれませんが)きっと多くの人が遠ざけているものでしょう。しかし本書では、社内政治には良いものと悪いものがあり、社内政治そのものは悪くなく、進んで参加するように奨めています。ついでに言うと、この項目は「社内政治」についてだけではなく、偏見を捨てるべきであることを添えていますが、その点こそ記事の本質ではないかと思うのです。

本書もまた、字面だけ表面的に読めばそれでおしまいなのですが、本質に迫る読み方をすることで「悟り」すなわち成長につながっていくのではないかと思いました。

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書名:ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか
著者:佐藤智恵
発行:日経BP社/2015年4月21日
ISBN:978-4-8222-5071-3


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