強い組織に見られる性質

リーダーシップというテーマだけで興味を持つ方は多くいらっしゃると思いますが、今回ご紹介する本はちょっと趣が異なっています。というのも、本書はアメリカ海軍の士官候補生のための書物だからです。ですので、そのまま日本の企業に当てはめようと思うと多少無理があります。

とはいうものの、エッセンスを抽出すると、実は日本の企業におけるリーダー(あるいはマネージャー)でも教訓にすべき原則がたくさん述べられているという点は特筆すべきでしょう。特にラインのマネジメントにおいて気づかされる点は多いです。

本書は様々な切り口で書かれており、一言で表現するのは難しいのですが、私が特に興味を抱いたのは次の点です。それはリーダーは次のような態度でいるべきだという勧めです。

  1. 健全な懐疑主義
    一言で言うと、他人の意見を鵜呑みにしないということ。本当にそうかどうか自分の目で確かめるまで判断を保留するという態度です。それは「もちろん」「当然」「常識」「伝統」「慣例」などを疑うということでもあります。
  2. 客観性
    前項の内容と絡めると、自分自身の客観性を疑うということでもあります。つまり、自分が何かを判断するとき、あるいは観察するとき、どうしても主観的になってしまう。逆説的ですが、自分が客観的ではないと悟るところから自分の客観性が始まるのです。
  3. 変化への即応性
    懐疑的な態度であらゆることを疑いつつも、新たに客観的な証拠が示された場合にはそれを即座に受け入れるということです。現在のすべてに反対するというのは結局何も変えようとしないに等しいのです。

また、本書はリーダーシップについてというよりは、組織論について書かれた本と呼ぶのが相応しいかもしれません。そう考えると次のような「組織の原則」という項目は実に今の日本の企業においても参考にすべきでしょう。いくつか要約して列挙すると、

  • どんなタスクも2つのグループまたは2人以上に割り当ててはならない
  • 組織のメンバーは誰でも、自分が誰に報告するか、誰が自分に報告するか、を知らなければならない
  • 組織のメンバーは誰でも、2人以上の監督者に報告してはならない
  • 誰でも効果的に調整かつ指令することができる範囲以上のグループまたは個人を、直接報告関係にある部下として持ってはならない
  • 細かな手続きよりもむしろ、ポリシー(方針)によって統制を行うべきである

などなどです。軍隊がそうであるように企業においても組織構造がシンプルで、全てのメンバーが主体的に動く組織は強いのです。
――――
書名:リーダーシップ
著者:アメリカ海軍協会
発行:生産性出版/1981年10月24日
ISBN:978-4-8201-1916-6



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