適材適所か 成長重視か

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

人の配置は適材適所が良いと言われます。
また一方で、長期的なことを考えれば
人材の教育・育成もまた必要なことです。

ところが、適材適所と教育・育成が
真逆のことをやろうとしているということが
あまり意識されていない気がしています。

なぜこのような問題を提起するか。
それは適材適所で人を配置しようとすると、
教育・育成の観点でこの人を配置したい
と言われることがあるからです。

適材適所と教育・育成が真逆であることを
「意識されていない」と書きましたが、
もしかしたら、意識しているが故に
そういった配置を提案されているのかも知れません。

この話は、「もしドラ」でお馴染みの
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
の続編である
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」
を読んで気付かされたものです。
そこにはこのように書かれています。

マネジメントというのは、弱みに着目せず、これを組織の中で中和する。けど、教育というのは弱みに注目して、これを克服させようとする。(中略)だから、マネジメントと教育というのは、そもそも全く異なることをしているんじゃないか

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら・262頁

弱みに着目しないということは、
強みに着目するということです。
(本文中では「強みに集中する」と書かれています)
そして強みに着目した配置というのは
その人の強みを活かした配置、
即ち適材適所による配置です。

スタートアップなどの中小零細企業では
適材適所など考慮できるはずもなく、
とにかくいる人でやっていくか
協力会社と臨時で提携するしかないので
あまり問題になることはないと思います。

ですが、ある程度大きな組織の場合、
適材適所を優先するのか、
メンバーの成長を優先するのか、
あるいは両者のバランスを取るのか
という選択に迫られると思います。

というのも、組織としては当然
従業員の成長を考えていかなければなりませんし、
そうかといって、
当人の適性を無視した配置をすれば
パフォーマンスが出なかったり、
酷い場合は離職したりしかねません。

もちろんすべての従業員がそうなる
というわけではありません。
成長を重視した配置が成功するのは、
当人はスキル不足であると自覚していて
それでもチャレンジして成長したいと
心から願っている場合です。
もちろん適切なサポートは必要です。

逆に成長を重視した配置で失敗するのは、
スキル不足を自覚していようとなかろうと、
心ではやりたくないと思っていても
組織の期待に応えたいという義務から
結果的に自分をも欺いて
無理してしまうパターンです。

それでも最初のうちはいいと思います。
徐々にパフォーマンスが落ちて来たら
組織としてカバーすることを考える必要があります。
ただ、露骨に役割を交代させたりすると
却って気持ちが落ちる可能性があるので、
話し合いが可能なうちに
当人とも話し合う必要があるでしょう。

いずれにせよ、組織の論理を通すのか
個人の論理を通すのかの選択については
個々の特性に合わせて
折り合いをつけていくしかないのでしょう。



関連記事

プロマネの右腕

クロスイデアでは、新サービス・新ビジネスの 立上げや計画を中心に
プロジェクトマネジメントの支援を行っています。

新サービスの企画を任されたけど どう進めていいか悩んでいる担当者、
部下に新しい企画を任せたけど このままで大丈夫か不安な管理職の方、
以下のサイトをご参照ください。
https://www.crossidea.co.jp/services/right-hand-pmo.html

YouTubeにて動画配信中!

プロジェクトマネジメントのノウハウを
YouTubeで配信しています。
ブログと併せてご活用ください。

Comments are closed.