かんばんボードとカンバン方式は無関係?

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

何年も前にこのブログで
かんばんボードを使ったタスク管理
について書いたことがあります。

つい最近まで、かんばんボードは
トヨタ生産方式を応用した手法だと思っていたのですが、
どうもそうではなかったようです。

トヨタ生産方式は「カンバン方式」とも言われ
上流からラインを流すプッシュ型の生産に対し
下流から要求するプル型の生産が特徴で、
世界中の製造業に影響を与えています。

下流が仕掛品を受入れ可能になると
タグ(かんばん)を上流に回して
上流はそのタグの数だけ生産して下流に流す仕組みですが、
仕掛在庫の量をタグの総数以下に抑えられるので
作り過ぎを防止することができます。

一方、かんばんボードとは
次のようなものです。

この例は少しアレンジしていますが、
一番シンプルなものは
ToDo/Doing/Done
という3つのレーンに区切り、
付箋紙にタスクを書き出して貼り付け、
タスクの状況を見える化したものです。
Doingに置くタスクの数を制限することで
仕掛中タスクの個数を抑制でき
1つずつ確実にタスクをこなす癖をつけられます。

じゃあこれがカンバン方式なのかというと
疑問が残りますよね。
少なくとも付箋紙がカンバンではなさそうです。

上の例では、
担当者ごとにレイヤーを区切って
単にタスクの見える化をしただけです。
これをカンバン方式に近づけるには
レイヤーを担当者ごとに区切るのではなく
レーンを担当者ごとに区切って
担当者間でのタスクの流れを制御する
というやり方になろうかと思います。

つまり、後続タスクの担当者が
受入れ可能な状態でなければ、
先行タスクの担当者が
次のタスクを回してはいけないというルールを作り、
その為に、誰かの手が空いていて
誰かのタスクが滞っていたら
そのタスクを手伝うという仕組みです。

ここまで来れば
カンバン方式に近いのではないでしょうか。

この、かんばんボードによるタスク管理、
ある時はうまくいっていたのですが
その内うまくいかなくなってしまいました。

これを実施しようとしたのは、
チーム内のタスクがやや溢れている状態で
それでもタスクをある期日までに
やり遂げなければいけないという
切羽詰まった状況でした。
それでこのような仕組みを使って
タスクの全量を把握し、
みんなで協力して片付けようという
動機づけにつながったのではないかと考えています。

ところが、期日を迎え、
やるべきことはやり切りまして、
もちろん次の案件が始まるのですが、
少なくとも切羽詰まった状況ではなくなりました。
そうすると、これを使ったタスク管理が
却って負担になってきたんですね。
ゆとりがある状況では効果を発揮せず、
むしろ邪魔になっていたということです。

あの時の状態に戻りたいとは思いませんが、
うまくいっていた時の状態に
今でも思いを馳せることがあります。



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