本日の日経新聞の9面「経営の視点」というコラムに日本と欧米の意思決定文化の違いについて興味深い内容が記されていたのでご紹介します。
大震災から2ヶ月になろうとしていますが、地震発生直後、特に福島第一原発の状況が判明してからの欧米各国の避難や撤退などの対応が素早かったのは記憶に新しいと思います。その時の日本人の反応といえば、大げさだとか薄情だとかいったネガティブなものが多かった印象があります。その温度差はどこからくるのでしょうか。
日本の場合は何か事が起こってから慌てて対応を決める。一方、欧米諸国の場合はそうではなく、予め定めておいた手順を粛々と忠実に実行する。――その差が決断のスピードの差だということです。
ではなぜ日本では、危機が起こったときの対応手順を予め定めないのでしょうか。
実はここにヒントがあります。日本では最悪の事態を想定すると、弱気だ、これまでの取組みに対して失礼だと責められる――そんなことは起こるはずがない、いや、起こってはならない、というわけです。そういえば、太平洋戦争中は日本が負けたときの事を考えるなどとんでもないという風潮があったことを思い出しました。「必勝」という精神論――最良の事態のみを考えるべきであって、最悪の事態を考えることは許されなかったのです。
どんな対策を施しても万全ということはありません。対策は費用がかかるためどこかで線を引かざるを得ません。しかし、想定には限りがなく、対策できなくても想定して先回りしておくことで、事が起こったときの被害を最小限に食い止めることができるのです。心を鬼にしてとことん最悪の事態を想定しましょう。
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