今日6月10日は時の記念日ということで、時間にまつわる話題について触れたいと思います。
3月11日の震災で原発が停止し、またその影響で少なくとも今年の夏はかなりの電力供給不足が懸念されています。エアコン使用の抑制、スーパークールビズなど、私たちの盛夏の過ごし方について、改めて考えていかなければならない状況に置かれています。
その中で、施策として提唱されているものの一つに「サマータイム」があります。サマータイムとは、夏に近づくタイミングで時計を1時間早め、夏が終わるタイミングで1時間早めた時計を元に戻すという制度です。夏は早い時間から屋外が明るくなるので、その明るい時間を有効活用しようというのが狙いなのですが、省エネにもなるんじゃないかということで最近再登場しているようです。しかし、実際にアメリカに住んでいてサマータイムを体験したことのある方のお話を伺ったことがあるのですが、時計を合わせるのが面倒くさいし、体のリズムを合わせるのも大変だとか。
また、特に日本の場合は、情報システムを設計する際にサマータイムを想定していないため、実際に時計をずらすとなると様々なシステムトラブルが発生し、社会生活に支障を来すのではないかと考えています。それならば時計はそのままでタイムテーブルを変更する方が社会インフラへの影響は少なく、導入へのハードルも比較的低いです。グローバルでではなく、ローカルで実施する夏時間。どうやらそれを「企業版サマータイム」と呼んでいるようです。
私が通っていた高校は夏時間と冬時間という制度があり、冬時間は正規の時間(夏時間)に比べて20~30分遅く授業が始まりました。それは学生の身にとっては大変ありがたかった。ですが、その制度の目的は省エネということではなかったようです。
それにそもそも夏に時計を早めたところで、人が活動している以上はどこかで過ごさなければならないため、確かに昼間に活動するオフィスは電力消費量を抑えられるかもしれませんが、社会全体として見れば変わらないどころか、活動時間が長くなる分だけ電力消費量は増えるのではないかと予想できます。それに電力消費量を抑えなければいけないのは暑い昼下がりの時間帯です。
サマータイムはいずれの場合も省エネ・節電対策としては疑問が残り、時間を有効活用したいということでしたら各組織で個別に実施する企業版サマータイムで充分ではないでしょうか。