駄洒落と真面目に向き合ったセミナー

本日はIC協会の月例セミナーがあり、2カ月ぶりに参加してきました。本日は「爆笑する組織~人間関係を強くする『だじゃれ』仕事術~」というタイトルでのワークショップでした。駄洒落好きのワタクシとしては何やら楽しそうなテーマではありませんか。講師は一般社団法人日本だじゃれ活用協会(!)代表理事の鈴木さん。「だじゃれは世界を救う」というスローガンを掲げて駄洒落活用法のワークショップを精力的に開催していらっしゃる方です。何でも当初は企業向けの研修を中心だったのが、気が付けば専門学校生やら学童保育のスタッフやら幅広い層を相手に教えていて、ご本人も思いがけない展開だったとか。

駄洒落というとどうしてもイメージしてしまうのが「おやじギャグ」。どうしてもそういううっとうしい世界を連想してしまいがちなのですが、おやじギャグと駄洒落の違いは明白で、おやじギャグというのは自己中心(つまり思いついてしまったので文脈を問わずとにかく言わずにはいられない)であり、駄洒落というのは他者貢献(人を楽しませようとか、場を和ませようとか、とにかく相手のことを考える)であるということでした。

今回のワークショップは、駄洒落を仕事(例えばプレゼンテーションやチームビルディングなど)に取り入れるとどのような効果があるかというテーマでのグループディスカッションから始まりました。プレゼンテーションについては、「注意を引き付ける」「キャッチなことを言うトレーニングになる」「双方向のコミュニケーションを生み出す」など、またチームビルディングについては「伝えにくいことを伝える時に使えそう」「メンバー同士の距離が近くなる」「滑ってもいい=失敗してもいいという雰囲気が生まれる」などの意見が出ました。

説明の中で一番わかりやすかったのは「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督が使った駄洒落の事例です。鈴木さんは「爆笑する組織」を著す際に直接佐々木監督に取材したこともあるそうですが、やはり駄洒落というのは無闇矢鱈に使うべきではなく、使う場面は選んでいるのだそうです。メンバーが緊張して固くなっている時はほぐすために使うが、逆に緊張感を維持する必要がある時は言わないといったさじ加減は肝に銘じたいですね。

セミナーの中では実践編として駄洒落をいかに素早く作り出すかといったトレーニングもあり、普段使わない頭を使った気がします。また、今日のセミナーでは範囲外だったのですが、参加者の方々は「スベった時の対処法」に関心が高かったようでした。確かにトラぶった時のための手先に打っておくというのはICらしい発想ではあります。著書では触れているそうですので、ワタクシも読んで勉強したいと思います。もし今後ワタクシが駄洒落を言っても温かく見守ってくださいね。

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一般社団法人 日本だじゃれ活用協会
http://www.dajare-zukai.jp/

「ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか」佐藤智恵 著

本書はラジオで紹介されて興味を持ち、その日のうちに購入してしまいました。何が私の興味を引いたのか、それはタイトルに掲げられている問いそのものよりも、本書が書かれた趣旨だと思います。もしラジオで中身について触れられなかったら手に取ることはなかったでしょう。以前であれば「ハーバードなんて関係ない」とスルーしていたかもしれません。

タイトルにある「仕事術」ですが、これは組織の中で「部下として」成果を出すためのスキルだと言います。一方、ハーバードビジネススクールで教えていることは「上司として」成果と出すためのスキルなのだそうです。上司としてというとなんだか小難しそうに聞こえますが、何のことはない「リーダーシップ」について教えているということです。当たり前のことですが、いずれも「読めば身に付く」という類のものではなく、実践して時には失敗しながら会得していくものだろうと考えます。

本書は全部で120項目について書かれていますが、見開き2ページで1項目についての解説が完結しているのでスラスラ読めます。この120項目がリーダーシップについて網羅されたリストだとは言っていませんが、「なるほどそうだよね」とか「え、そうなんだ」とか、自分に欠けているものに気付かせてくれ、今後の学びのヒントを得られます。

例えば社内政治。私の想像では(自分がそうだからそう思うのかもしれませんが)きっと多くの人が遠ざけているものでしょう。しかし本書では、社内政治には良いものと悪いものがあり、社内政治そのものは悪くなく、進んで参加するように奨めています。ついでに言うと、この項目は「社内政治」についてだけではなく、偏見を捨てるべきであることを添えていますが、その点こそ記事の本質ではないかと思うのです。

本書もまた、字面だけ表面的に読めばそれでおしまいなのですが、本質に迫る読み方をすることで「悟り」すなわち成長につながっていくのではないかと思いました。

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書名:ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか
著者:佐藤智恵
発行:日経BP社/2015年4月21日
ISBN:978-4-8222-5071-3

「潜在意識をとことん使いこなす」C・ジェームス・ジェンセン 著

私は社会に出てから、というよりこのIT業界で働くようになってから、技術系の本ばかりでなくビジネス書(いわゆる自己啓発本も含む)をよく読むようになりました。少なくとも私自身は技術力で勝負するつもりはなかったので、もっとビジネス的なセンスを養いたいと思ったからなのでしょう。

ビジネス書をいろいろ読んでいくと、それぞれは素晴らしいのですが、それらを全て実行しようとすると本の数だけやるべきことがあり、挫折感ばかり味わうということになりかねません。社会に出て10年以上が経過しましたが、本書を読んでそれぞれのテーマがようやくつながったのです。さすがに全てとは言いませんが、私が読んだ中で多くの本が持つ共通項は「悟り」です。

悟りや潜在意識というとなんだか胡散(うさん)臭く感じるかもしれませんね。書店で見かけたときも一瞬そのように思って躊躇しました。一時期「マインドコントロール」という言葉が流行り、今でも時々マインドコントロールに関わる事件のニュースを耳にします。そのような事件は何故と思う一方で怖いと感じるものです。それはいかに潜在意識が影響を受けやすいかということを示しています。だから、自分で自分にマインドコントロールを施す(いわゆる自己暗示をかける)ことによって自分を変えることが出来るということのようです。

本書を読み進めていくと、潜在意識の性質(メカニズム)について、またその性質を利用してどのように自分を変えられるのかについて、理論と実例が記されています。そして変化を起こす手順は次の通りです。

  1. 願う
  2. 期待する
  3. 想像する

願っても叶えられないのは願うだけで止まってしまうからです。だからよく成功した著名人が「目標には日付を入れなさい」と言ったり、「出来ない理由ではなく、やるための方法を探しなさい」と言ったりするのは理に適っているのですね。

また、潜在意識は影響を受けやすいため、潜在意識に届ける情報を自分で選択する必要があるそうで、善良な考えを持てば良い事が起こるし、邪悪な考えを持てば悪い事が起こるということです。潜在意識は反論することなく意識(=心の声)の指示に必ず従うのだそうです。そういえば、私がかかっている歯医者では、歯列の矯正をしていた時「この歯で噛みなさい。思うだけでも良いから」と毎回受診の度に言われていました。今思うと、これも歯科医師が潜在意識の力を理解してそのように指導していたのだなと思わされます。

さて、私の頭の中でつながった書籍をいくつかご紹介します。

  • なぜあの人だと話がまとまるのか?(田村洋一 著)にて、話をまとめるには明確なビジョンを描くこと、徹底した相手主義を貫くこと、脱力して諦める(つまり悟る)ことの必要性を繰り返し説いています。
  • スーパーエンジニアへの道(G.M.ワインバーグ 著)では、ビジョンを描くこと、物事に対する自分の反応を客観的に説明する(これも悟る)ことだけではなく、心理療法として自己暗示によって自分を変える方法が紹介されています。
  • また、ベストセラーの嫌われる勇気(岸見一郎 著)でも過去が現在の状態を引き起こしているのではなく、過去の出来事に対する自分のスタンスが現在の状態を決めていると書かれています。そしてそのスタンスを変えることによって自分を変えることが出来ると説いています。

このように「悟る」というテーマが異なる切り口のビジネス書の根底に垣間見られることから、「悟る」ということがビジネスでもプライベートでも自分を成長させる鍵になるのではないかと思っています。私も願い、期待し、良い結果をイメージすることから始めたいと思います。


書名:潜在意識をとことん使いこなす
著者:C・ジェームス・ジェンセン
訳者:大沢章子
発行:サンマーク出版/2015年2月20日
ISBN:978-4-7631-3441-7