帰宅支援マップ、もうひとつの側面

この度の大地震で被災された方々には心からお見舞い申し上げます。また一日も早い復興を願って止みません。

さて、私が今住んでいる東京でも本震ではかなりの揺れを感じ、今までにないほどの恐怖を覚えました。(個人的には震度5以上は初めての経験です。)そして首都圏における地震そのものの被害は、建物の一部崩落や工場の火災などを除き、広範囲には及びませんでしたが、2次的な被害として鉄道が全てストップしてしまいました。JRは当日中の復旧を早々に見送り、私鉄も復旧は夜間に及びました。

そしてそれが大勢のいわゆる帰宅難民を生みました。ニュースでも報道されましたが、徒歩で帰宅する人が続出したようです。一方で無理に帰ろうとしないように制する呼びかけもありました。東京都では以前から災害時の「帰宅困難者」の想定はされていたようですね。(参考:東京都防災ホームページ

この件で思い出したのが数年前に出版された「災害時帰宅支援マップ」です。地図の昭文社が、都心から郊外へ徒歩で帰宅する時に役立つような情報(公衆トイレの位置や危険な場所など)を盛り込んで作成した、非常にニッチな商品なのですが、発売当時はその着眼点の斬新さに感動して1冊購入したのです。

実際手に取ってみると地図はいわゆるメッシュではなく、街道を中心に描かれ方面別に索引がつけられており、ナビゲーションとしては大変分かりやすいものでした。当時は横浜南部に住んでおり電車で通勤していましたが、本当に災害に遭った時のために歩いて帰る予行練習をしておこうと考えました。

ある土曜日、午前中に都心の歯科医で検診を受けた後、一人でその地図を片手に徒歩で帰ることにしました。横浜南部に帰るには赤坂付近から第二京浜という大きな通りを経由するのですが、最初は見慣れない景色を楽しむことが出来たものの、都心に比べると第二京浜は殺風景で退屈極まりなく、途中でコンビニに寄ったりトイレに行ったり休みながらではありましたが、徐々に疲労が蓄積していきました。そして5時間ほど歩いたところで小雨に遭い、それで完全に挫けてしまいました。(最寄り駅から電車に乗って帰ったのは言うまでもありません。)

当時、この予行練習から私が学んだことは、本当に被災して帰れなくなっても徒歩で帰りたいという衝動を堪えようということです。もちろん人それぞれに事情もおありでしょうし、他の誰かが徒歩で帰宅するのを止めようというつもりはありません。あくまでも「自分はそうしよう」というものです。私も今は東京に住んでいますし、都心で被災してもハイキングのつもりで歩いて帰れますし、そうするでしょう。しかし都心から10時間も歩くような場所に住んでいたとしたら、衝動的に帰宅しようとする前に「一度冷静になれ」と帰宅支援マップは教えてくれたのです。



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