プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
2月17日に、デジタル庁が「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の取組に関する総括報告書」を公式サイトに掲載しました。
新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA(デジタル庁)
これは、河野デジタル大臣が昨年9月の記者会見の中でCOCOAの終了を発表した時に、次の機会につなげる総括をしっかりやりたいと表明しており、それが今回の報告書につながったものと理解しています。
報告書の構成は、第1章は導入で、第2章で、まず、COCOAの構想が持ち上がって、実際に開発すると決めてから、機能を停止するまでの経緯が時系列で語られています。次の第3章が統計データですね。何件ダウンロードされて、何件陽性登録されたかという稼働実績、それと開発と運用にかかった費用です。ちなみに約2年半でおよそ13億円かかったそうです。初年度でも約4億円ですから金額でみると大きいですよね。これは開発規模が大きかったのか契約単価が高かったのかという議論はありそうです。
それから第4章に評価が記載されています。これは2つに分かれていて、関係者へヒアリングしてまとめたものと、実際のユーザーへのアンケート結果をまとめたものがあります。このうち関係者というのがどこまでの関係者を指しているのかは読み取れなかったんですけれども、政策決定から現場の運用まで、少しでも関わった人へヒアリングしたのではないかと思われます。なかなか厳しい生の声も掲載されています。そして最後の第5章が報告書としてのまとめになっています。
この報告書の中で、私はどうしても課題に目が行ってしまいます。主な項目として、調達や開発の体制に関するもの、アプリの機能に関するもの、アプリを含めた施策の運用に関するもの等が挙げられています。中でも気になったのが、有事になってから対応する(いわゆる泥縄)方式ではなく、平時から準備しておかないといけないという意見です。言いたいことは理解できますけれども、それなりにコストがかかるので、現実の問題としてハードルは高いだろうなと思います。
アプリ自体も普段から使えて、有事になったら専用のモードを発動するようなアイデアも書かれていまして、それだったらもっと一般的な感染症(例えばインフルエンザのような)にも適用できれば、パンデミックが起こっても数ある感染症の中の一つとして扱えるので難しさはないと思います。もちろん通知した時にそれがどのウイルスに対する陽性なのかという情報は最低限必要でしょう。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
この総括は、悪かった点だけでなく良かった点についても整理されています。逆にいえば良かった点だけを挙げるのではなく、悪かった点についても目を向けているところは好感が持てました。私たちは仕事で報告書をまとめる時に、特に周囲の評価が厳しい場合には、何とか自分たちを正当化しようとして良い所を強調しがちですけれども、ありのままの実績や意見にも目を向けるという姿勢が、次の活動を行う時の信頼感につながるのではないかと考えています。もちろん、炙り出した課題にもしっかり対処していただきたいと思います。
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