7月2日から5日にかけて発生したau(KDDI)の大規模通信障害

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

今日は、先日7月2日から5日にかけて発生した、au(KDDI)の通信障害を取り上げます。
もう散々あちこちで取り上げられているので今更感があります。同じような話を繰り返しても仕方がないですので、私の観点を述べるにとどめたいと思います。

尚、私は20年以上KDDIの回線を契約していますので、契約者としては純粋に頑張っていただきたいと思っております。

似たような事故として去年10月に発生したNTTドコモの障害がありました。その時にこのブログで取り上げた時もそうだったのですが、重要な話であるにも拘らず、記者会見でなされたような詳しい説明がニュースリリースとして公開されていないんですね。
なので、残念ながら今回も一次ソースではなく、「ケータイ Watch」の記事が詳しいと思いましたのでリンクを貼っておきます。

「au通信障害」KDDI髙橋社長の会見質疑詳報、なにが起きたのか、「ドコモの教訓」は?(2022/7/3 ケータイ Watch)

今回のKDDIの通信障害はとにかく長かったですね。発生したのが7月2日1時35分、最終的に問題が無いことを確認したのが7月5日15時36分と発表されていますから、ざっと計算すると約86時間。まあこの86時間の全てが完全な故障ではないにせよ、年間の稼働率を計算すると約98.2%になります。99%に届かないということで、昨年のドコモの障害以上に重たい障害ということが言えると思います。

(7月5日 16時15分現在)au携帯電話サービスがご利用しづらい状況について(2022/7/5日 KDDI)

今回の障害が難しいなと感じた点は、エラーが伝播していることです。記者会見の記事を読むと通信障害の原因は加入者DBのデータエラーのようですが、なぜデータエラーが発生したかというと加入者DBで輻輳が発生してデータを更新する処理が間に合わなかったからだということです。

ではなぜ加入者DBで輻輳が発生したのかというと、VoLTE交換機で輻輳が発生したから。なぜVoLTE交換機で輻輳が発生したのかというと、多くの端末が一度に再接続要求を行ったから。なぜ多くの端末が一度に再接続要求を行ったのかというと、コアルーターの交換工事で切り戻し(個人的にはこの表現が好きではありませんが)を行ったから。なぜ切り戻しを行ったかというと、コアルーターを交換したらエラーが発生したから…と発表されています。

で、私が知りたいのはその先です。なぜコアルーターを交換したらエラーが発生したのか…です。作業を巻き戻すということは、対処して前進させることができないエラーだと判断したからだと思うのですが、まずそのエラーの原因が何だったのかですね。記者会見によると、ハードウェアの故障というよりは、設定の問題だと推測されているようですが、ここは詳細の調査を待ちたいところです。

冒頭で、昨年のNTTドコモの障害について触れました。記者会見でも、その事故の教訓は活かせなかったのかと詰められたようですが、総務省の指導を受けて対策はしたものの甘かったということです。結果的にこうなってしまったのは残念ですね。作業の巻き戻しは計画しても、なかなかリハーサルまで実施するところは少ないと思います。だからこそ、何か問題が起こるとしたら作業の巻き戻しのタイミングなのかもしれません。

一般利用者が万が一の障害に備えられるように工事日程を公表してはどうかと思ったのですが、インフラ設備の交換は日々のメンテナンスとして毎月のように実施されているのだそうです。そんなに頻繁に工事しているんですね。その頻度で案内されても実質何も対策できないですね。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


尚、昨年のNTTドコモの障害の場合は、事故発生の翌月に総務省に提出した報告の概要をプレスリリースとして公開しています。公開しているファイル自体はプレス向けのプレゼン資料のようです。

2021年10月14日の通信サービス障害に関する報告書を提出(2021/11/10 NTTドコモ)

今回のKDDIの事故についても同等かそれ以上のプレスリリースを期待します。
そんなことを考えていたら、KDDIが8日に原因究明と再発防止に向けたチームを設置したというニュースが飛び込んできました。

KDDIが障害究明チーム設置再発防止へ通信網強化(2022/7/8 共同通信社)

これによると、NTTドコモと同等な事故報告書を8月1日までに総務省に提出する予定だそうです。そこで公表される内容に期待しましょう。



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