今更?ドコモとKDDI、ソフトバンクの携帯大手3社が「メール持ち運び」制度を開始

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

今日は、12月15日にNTTドコモとKDDIが、20日にソフトバンクがそれぞれ発表した、携帯キャリアメールの持ち運び制度について取り上げます。

各社のニュースリリースはこちら。

先週12月15日に、NTTドコモとKDDIはそれぞれニュースリリースを出しまして、ドコモは16日から、KDDIは20日から「携帯キャリアメールの持ち運び制度」を開始しました。そして、12月20日にはソフトバンクもニュースリリースを出しまして、同日20日から同様の制度を開始しました。

これはどういう制度かというと、モバイル回線を契約すると、各携帯キャリアドメインのメールアドレスが払い出されますが、これまでは解約したり、番号ポータビリティ制度を利用して他社の契約に乗り換えたりすれば、そのメールアドレスは返却しなければいけませんでした。

それが今回の制度改正で、キャリアから払い出されたメールアドレスを返却しなくても良いという選択ができるようになりました。これによって、キャリアメールを使い続けたいという理由で番号ポータビリティ制度の利用を見合わせていた人にとっては、その障害が取り除かれたということになります。

ただ、このメール持ち運び制度を利用するのにはそれなりの制約があります。まず、ドコモの場合は回線契約に基づいて発行された「dアカウント」、KDDIの場合は回線契約に基づいて発行された「au ID」、ソフトバンクの場合は回線契約に基づいて発行された「SoftBank ID」が必要で、解約または乗り換えから31日以内に手続しなければいけないという期限が設定されています。更に、そのメールアドレスを使い続けるためには毎月330円(税込)を払い続けなければいけないということです。まあこのためにシステムへ投資したはずですので無償ではないことは理解できますが、これが高いか安いかという判断になろうかと思います。
ちなみにソフトバンクだけは年間3,300円(税込)という料金になっているんですが、来年夏以降は月額330円(税込)という料金設定も提供するとしています。

このニュースを聞いて、個人的には「今更?」と思ってしまいました。番号ポータビリティ制度が始まったのが2006年10月ですから、もう15年が経過しています。そもそもキャリアメールが必要だったのはフィーチャーフォン、いわゆるガラケーの機能によるところが大きくて、当時はまだガラケー全盛の時代でしたから、携帯電話を持つということはキャリアが払い出すメールアドレスを使うということを意味していました。ところが、今はスマートフォンの時代です。見た目はガラケーという機種でも中身はほぼスマートフォンです。

ガラケーからスマートフォンになってインターネットの利用で大きく変わった点はWebサイトとメールです。ガラケー全盛期はどの企業もパソコン用のサイトとガラケー用のサイトを提供していました。メールもパソコンで使うアドレスと携帯で使うアドレスが違っていましたし、携帯でメールを利用するにはキャリアメール以外の選択肢はありませんでした。そのうちガラケーも徐々に性能が上がってきて、パソコン用のWebサイトを表示するアプリとか、パソコン用のメールを送受信するアプリがリリースされていましたけれども、あくまでもそれはサブ的な位置づけでした。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


ところがスマートフォンではもはや携帯用のWebサイトやメールアドレスは必須ではなくなりました。特にAndroidのスマートフォンを使う人はまずGmailのアカウントを取りますよね。ということはわざわざキャリアのメールアドレスを使わなくても、ほとんどの人がすでに回線の契約に依存しないメールアドレスを使っていることになります。なので、番号ポータビリティ制度を利用しない人というのは、もはや契約の切り替えそのものが面倒な人ばかりなんじゃないかと推測します。

番号ポータビリティだっていざやろうとすると慣れない手続きをしなければならないのに、更にメールアドレスを使い続けるための手続きも必要になるということで、本当にこの仕組みを促進したいのであれば、もっと手続きを簡略化しないといけないと思います。それでも制約が多いところを見ると、そこまで本気ではないんだろうなと穿った見方をしてしまいますね。



関連記事

プロマネの右腕

クロスイデアでは、新サービス・新ビジネスの 立上げや計画を中心に
プロジェクトマネジメントの支援を行っています。

新サービスの企画を任されたけど どう進めていいか悩んでいる担当者、
部下に新しい企画を任せたけど このままで大丈夫か不安な管理職の方、
以下のサイトをご参照ください。
https://www.crossidea.co.jp/services/right-hand-pmo.html

YouTubeにて動画配信中!

プロジェクトマネジメントのノウハウを
YouTubeで配信しています。
ブログと併せてご活用ください。

Comments are closed.