全銀システムが2日間にわたる大障害!一部銀行間の送金が不能に

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

10月10日に、一般社団法人 全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)がプレスリリースを出しまして、全国銀行データ通信システムで不具合が発生し、一部の銀行で、他行宛の振込取引ができない状況だと発表しました。

全国銀行データ通信システムの不具合について[PDF]
(2023/10/10 一般社団法人 全国銀行資金決済ネットワーク)

もちろん現在は復旧しているんですけれども、復旧したのが12日で、完全復旧まで丸2日間かかったという、滅多に聞くことの無いかなり大規模な障害でした。最初の頃は障害の原因は不明としながらも、代替手段で縮退運転的な運用を行っていたようですが、代替手段ということで処理能力が追い付かず、遅延した送金取引がかなりあったようです。

全銀ネットは、「原因調査中であり、詳細が判明次第、改めてお知らせ」するとしていたんですが、(今この執筆時点で)公式サイトにおけるプレスリリースではまだ原因について発表されていません。ですが、ネットニュースでは原因について触れられていたので、ここでは読売新聞オンラインの記事を参照したいと思います。

銀行間決済のシステム障害復旧、506万件の取引に影響…更新機器の不具合原因か
(2023/10/12 読売新聞オンライン)

これによると、障害ポイントは全銀システムと金融機関を接続している中継コンピュータでしたと。そして、どうもこの3連休でその中継コンピュータを更新していたようです。その最初の本番運用で障害が発生したということですね。

私も最初の障害のニュースを聞いた時に、特定の銀行だけが影響を受けているというのが引っ掛かっていました。でも、全銀システムには1,000社以上の金融機関が接続しているらしいので、データの送受信を捌くために中継コンピュータを置いているということなんでしょう。1台の中継コンピュータで今回影響のあった11行全てを収容していたのか、1台のコンピュータで中継するのは1つの金融機関なんだけれども、今回更新したのが11台だったのかというところまでは分かりません。

少なくとも中継コンピュータは複数台設置されていて、その一部が故障したということであれば、影響が特定の金融機関に限定されていた理由は理解できます。そして、完全復旧まで行われていた代替手段による送金処理というのは、その故障した中継サーバーを使わない方法で処理を行ったということです。具体的なシステム構成までは分からないものの、さすがに直接接続するということはないと思いますので、代替機器を準備したということなのでしょう。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


この中継コンピュータの故障の原因が、ハードウェアを含めたインフラの故障なのか、あるいはアプリケーションの故障なのかというところも気になりますが、もし、一時的な代替機器を用意したのだとすれば、アプリケーションの故障ではなくインフラの故障ということになりそうです。

また、インフラの故障と言っても、今回実施した更新作業というのが、ハードウェアそのものを交換したのか、それともハードウェアはそのままで、搭載されているファームウェアやOSやミドルウェアなどを最新のバージョンにアップデートしたのかという点も気になります。障害発生時に作業の巻き戻しを行わなかったという点からすると、おそらく後者の方だったのではないかと思いますが、この辺りも推測の域を出ないので、正式な発表を待ちたいと思います。

復旧までに2日間かかったことでビジネスや生活で影響を受けた人もいるかと思います。それでも、代替手段での運用ができていたということで、まだ影響を抑えられた方なのではないかと思います。もし代替手段を用意していなかったとしたら、その影響は計り知れません。



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