プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
2月19日に、三菱UFJ信託銀行がニュースリリースを出しまして、情報銀行サービス「Dprime」を今年の5月20日で終了すると発表しました。
情報銀行サービス「Dprime」終了のお知らせ(2024/2/19 三菱UFJ信託銀行株式会社)
情報銀行というのは日本政府が後押ししている事業で、その定義をかいつまんでお伝えすると「システムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示またはあらかじめ指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業」ということです。私は利用したことは無いのですが、何年か前にCMか何かで情報銀行という言葉を耳にしたことがあったかと記憶しています。
個人的には、日本版GAFAの(組織ではなく)ビジネスモデルの構築を狙ったものと理解しています。GAFAは我々個人の行動を追跡して、広告とかレコメンドを最適化することで収益を上げていると言われています。それならそのスキームを真似てGAFAに対抗したらどうかということのように見えます。
三菱UFJ信託銀行は、その情報銀行のサービスを2021年の7月に開始しましたが、ビジネスとしては鳴かず飛ばずだったので、3年弱で閉じることにしたというわけです。「まあ、そうだよね」というのが私の率直な感想です。もっとも、情報銀行のサービスは三菱UFJ信託銀行だけが行っているわけではありませんが、どこも似たような状況ではないでしょうか。
ニュースリリースの中では「個人ユーザーの情報管理不安」を活用が進まなかった理由に挙げていますし、情報銀行について解説しているWebサイトでもデメリットとしてセキュリティ面を挙げているところが多いです。でも、私はそれだけじゃないだろうと思うんですね。少なくとも、それらのデメリットを上回るメリットを享受できる仕組みでないというのが本当の理由ではないかと思います。
そもそも情報銀行って誰のための仕組みなのかということです。少なくともデータを預ける個人のためではないことは確かです。だからこそ、データを預ける個人にポイントを発行したりして利用を促進しているのでしょう。
その他に考えられる理由として、そもそも情報提供の方法が分からないということです。例えば、よく引き合いに出される購入履歴ですが、私がよく利用する通販サイトにログインして購入履歴のページとかヘルプを見てみたんですよ。でも、どうやったら情報銀行にデータを提供できるのかという情報が見当たりませんでした。これだと情報銀行にデータを預けようと思っても預けられませんよね。つまり全然環境が整っていないということです。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
私たちが個人情報保護ということを考える時に、そもそも個人情報がどこに流通しているのかということが一番気になると思うんですよ。情報銀行ではそういった流通先の追跡ができることとか、情報を渡したくない相手には渡さないといった制御ができるというコンセプトが含まれています。コンセプトはいいと思います。
でもそれだったら、全ての個人情報は情報銀行経由で渡せるようにしないとだめだと思うんですよ。例えば、銀行口座を開くでも、通販サイトで買い物をするでも、携帯電話の契約をするでも、引っ越しをするでもいいんですけれども、いま私たちはそういった契約をする場合にいちいち個人情報を入力しますよね。
でも情報銀行に個人情報を預けているんだから、個人情報を手入力させるんじゃなくて情報銀行のアカウントを教えるからそこから取ってくれればいいじゃないかということです。そして、その代わり、そのサービスの利用状況のデータを情報銀行に還元してよっていうことにすれば、様々な入力作業が楽になりますし、便利ですよね。
あれ?これって何かに似ていませんか?そう、この考え方はマイナポータルに似ているなと思いました。マイナポータルはまだ道半ばですし、恐らく情報銀行とは関係なく構築された仕組みです。ですが、普及率としては圧倒的に情報銀行を抜いていると思われます。今後、様々なサービスの会員登録はマイナポータルを経由するということにすると、個人情報の管理はより安全でより楽なものになるかもしれません。
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