マイクロソフト発表:Excelのデータ変換機能を改善

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

米国マイクロソフト社が現地時間の10月20日、Microsoft 365 Insiderという公式ブログに記事を投稿しまして、Windows用ExcelとMacintosh用Excelで自動データ変換の設定を改善したと発表しました。

Control data conversions in Excel for Windows and Mac(2023/10/20 Microsoft 365 Insider;CHIRAG FIFADRA)

これは何かというと、Excelという表計算ソフトについては皆さんご存じだと思いますが、セルに値を入力した時もそうですし、カンマ区切り形式(CSV)やタブ区切り形式(TSV)のテキストファイルをExcelで開くと、データが勝手に変換されてしまうことがあります。もちろん単純に開くのではなくてインポート機能を使えば、そういった勝手に変換させないで開く(厳密にいえば開くのとは異なるが)ことはできますが、今回の改善では単純に開いた時でもデータが勝手に変換されないようなオプション設定を提供したということです。

具体的な設定内容ですが、4つ提供されています。

1つ目は、数値を入力する時に先頭の0が勝手に除去されてしまうのを抑止できるオプションです。あり得るシーンとしては、ハイフンなしの電話番号を扱う時に、市外局番は0で始まりますから、勝手に先頭の0が除去されてしまうという問題が起こります。なのでこの自動変換をオフにできるのはありがたいですね。

2つ目は、16桁以上の数値を入力する時に有効数字に変更されてしまうのを抑止できるオプションです。これは利用シーンとしてはあまり多くないかもしれませんが、例えば何かのIDを「タイムスタンプ(yyyyMMddhhmmss)+連番6桁」みたいな体系で運用している時に、「2.02310E+19」のような形式に変換されてしまいます。この自動変換をオフにすれば「20231030104521000001」といった文字列のまま表示できるということです。

3つ目は、数字+E+数字という並びで値を入力する時に有効数字に変更されてしまうのを抑止できるオプションです。これも利用シーンはあまりないと思いますが、ケースとしては記番号で「12E3」という値があったとすると、勝手に「1.20E+04」という形式に変換されてしまうので、そういうコード体系を利用している場合には意味があるかもしれません。

4つ目は、文字と数字の連続する文字列が日付として解釈できる場合に、勝手に日付に変換されてしまうのを抑止できるオプションです。これもあまり利用シーンは無いかもしれませんが、記番号で「30DEC86」という値があったとすると、勝手に「30-dec-86」(=1986年12月30日)に変換されてしまいます。なので、そういうコード体系を利用している場合にはこのオプションも意味があるかもしれません。

あと、一つ注文を付けるとしたら、このオプションはONにすると自動変換するような設定になっていて、デフォルトでONになっているんですよ。つまり何も設定を変更しなければ今までと同じ動きをするということです。でも、こういうオプションを気にするのは分かっている人ですよね。分かっている人はそもそもCSVファイルをExcelではなくテキストエディタで開く癖があります。日々の運用でトラブルになるのは、分かっていない人がCSVファイルをExcelで開いてしまって、自動で変換された想定しないデータのまま業務を続けてしまうケースです。なので、出来ることならこのオプションはデフォルトでOFF(つまり自動変換させない)にして欲しいと思いました。

そもそもExcelは表計算ソフトであって、計算の機能を提供するのが当初の目的でしたから、出来るだけ数字や日付に変換するというのは善意といえば善意です。でも、Excelは今や計算以外の目的にも使われる汎用的なソフトウェアになっています。そう考えると今回の改善は歓迎しますし、欲を言えば「1-3」という値も「1月3日」に勝手に変更されないようなオプションが欲しかったなと思います。アメリカでは「1-3」は「1月3日」かもしれませんが、日本だったら「1-3」は「1年3組」っていうシーンで使うことが多いですよね。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


この機能が使えるのはWindows版だとバージョン2309以降、Macintosh版だとバージョン16.77以降だということです。私も自分のパソコンを確認してみました。デスクトップPCにはOffice 2016が、ノートPCにはMicrosoft 365が入っているのですが、Microsoft 365版の方は確かに新しいオプション設定が追加されていました。しかし、Office 2016版の方はバージョン番号は要件を満たしているものの、新しいオプション設定は追加されていませんでした。

まあ、デスクトップPCに入れているOffice 2016もMicrosoft 365のアカウントに切り替えてしまえば対応できるのかもしれません。まあそれも一つの選択肢です。ただ、今使っているデスクトップPCはもう耐用年数を超えているので、今すぐに切り替えるのではなく、新しいデスクトップPCを買う時にはOfficeが入っていないものを購入してMicrosoft 365を導入しようと思います。



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