プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
3月17日に、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(以下、JIPDEC)とIT調査会社の株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)が共同でニュースリリースを出しました。
JIPDECとITRが『企業IT利活用動向調査2022』の速報結果を発表(2022/3/17 一般財団法人日本情報経済社会推進協会)
JIPDECとITRが『企業IT利活用動向調査2022』の速報結果を発表(2022/3/17 株式会社アイ・ティ・アール)
発表した内容は、両社が今年1月に「企業IT利活用動向調査2022」という調査を実施したのですが、その結果速報となっています。これは調査結果の抜粋で、調査結果の全体版は今年の5月に公開する予定とのことです。
このニュースリリースでは、調査結果のポイントとして以下の6点挙げています。
- テレワークの導入率
- 電子契約の利用率
- 改正個人情報保護法の対応状況
- インボイス制度への対応状況
- DXの効果測定実施率
- いわゆるPPAPの利用状況
この中で特に私が気になった点を取り上げたいと思います。
1. テレワークの導入率
詳細はニュースリリースを見ていただければと思いますので、ここでは数字はざっくりとお伝えします。アンケートの有効回答数が1000件弱でして、コロナ禍が始まる前からテレワークを導入していた企業が23%、コロナ禍が始まってからテレワークを導入した企業が50%、合わせると73%の企業がテレワークを導入しているということが分かります。
残りの27%がテレワークを実施していないんですが、そのうち8%の企業が、緊急事態宣言が出ている時だけテレワークを導入して、緊急事態が解除されたらテレワークもやめてしまったそうです。やはりそういう会社もあるんですね。その理由までは調査されているか分かりませんが、気になりますね。
2. 電子契約の利用率
テレワークが普及すると、紙にハンコという仕事のやり方がネックになってきましたよね。私も取引先が電子契約をするようになりましたが、今回の調査では電子署名が必要な電子契約を採用している企業が約半数という調査結果でした。その他に電子署名が不要な電子契約を行っている企業が10%、電子署名のことはよく分からないけど電子契約を行っている企業が5%あって、全体として電子署名を利用している企業は70%に及んでいます。
まあこれが必ずしも100%電子契約だということではないとは思います。取引先が場合によっては紙でやりたいということであれば紙でやるという対応が混じっている可能性はありますが、会社としては電子契約を採用ということでよろしいかと思います。
3. インボイス制度への対応状況
2023年10月から開始されることになっているインボイス制度、適正に消費税を課税するための手段として期待されています。電子でのインボイスを導入しようとしている企業が70%、紙でのやり取りも含めると75%の企業が導入を決めているということです。中にはこれまで納めていなかった消費税を払わされるという発想から制度に反対している人もおられるようですが、適正化するための制度であって、決められた以上に取り立てる制度ではないんですね。誤魔化すという発想がそもそもビジネスパーソンとしての資質を疑いたくなります。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
4. いわゆるPPAPの利用状況
最後は、いわゆるPPAP、暗号化ファイルをメールに添付して、直後にパスワードを平文で送るという謎プロトコルの利用状況の調査結果です。このニュースリリースを発表したJIPDECは、2020年に当時の平井デジタル担当大臣がパスワード付きZIPファイルのメール送受信を廃止すると発表した時に、「パスワード付きファイルのメール送信は以前から推奨していない」と援護射撃をした団体なのですが、覚えておられるでしょうか。
このPPAPの利用状況として送信側と受信側に分かれているのが面白いところなんですが、PPAP方式でメールを送信している企業が73%、PPAP方式のメールを受信している企業が85%という結果になりました。思ったよりまだ多いですね。
面白いのが、利用を禁止しているかどうかという点なんですが、既にPPAPでの送信を禁止している企業が8%、これから禁止する予定が27%と低調な一方で、逆に、既にPPAPでの受信を禁止している企業が14%、これから受信を禁止する予定が33%となっていて、先に受信側が禁止されて、それに伴って送信する方も減っていくのかなというのが読み取れます。何故かは分かりませんが、率先して送信を辞めるという方向にはならず、受け取ってくれないから送信をやめるという発想なのでしょう。
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