テレワークで仕事が捗らない本当の理由(アドビ社調査より)

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

今回は、先月9月16日にアドビ株式会社が出したプレスリリースを取り上げます。

プレスリリースはこちらです。
アドビ、未来の働き方に関する調査を7カ国で実施

これはPhotoshopやIllustratorでお馴染みのアドビ株式会社、以前の会社名はアドビシステムズだったんですが、去年アドビに社名変更したようですね。知らなかったです。
で、そのアドビが働き方に関する調査を行って少し前の9月16日にプレスリリースを出しました。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


で、どんな調査だったかというと、従業員数1,000名以上の大企業に勤める7か国約3,500名を対象としたアンケート調査です。7か国ということで、1か国につき約500名という内訳については書かれていますが、その他の年齢構成や男女比などについての情報は特に記載がされていません。こういう働き方の調査は業種や職種、それから役職の有無などでも違ってくるので、その辺のバランスをどうとったのかは気になるところ。ここではそういう年齢や性別などではなくて国による違いがどれくらいあるかを調査したということなのでしょう。

具体的な設問ですが大きく4つ、付随する質問を含めると合計6つ紹介されています。
1つ目の問いは「テレワークによってワークライフバランスは向上しましたか?」
2つ目の問いは「オフィス勤務よりテレワークの方が仕事がはかどりますか?」
3つ目の問いは「全体の業務時間の中で雑務にかける時間の割合はどれくらいですか?」
付随する質問として「効率化のためにデジタルツールを導入してほしい作業は何ですか?」
4つ目の問いは「来年転職したいと思っていますか?」
それに付随する質問として「年収や仕事内容が変わらないとすると、転職したい理由は何ですか?」

この調査なんですけれど、政府などの公的機関が実施しているわけではなく、調査会社でもない普通の民間の事業会社による調査ですので、普通に考えて市場調査なのだろうとまず思いました。私は市場調査を業務として請け負ったことはないですが、一般的にアンケートの問いを立てるには、ある程度、結論に対する仮説を持ってないといけないわけです。少なくともその仮説が正しいか間違っているかを判断できるような問いを立てるということになります。その仮説が無いと意味のある調査結果が得られないということですね。

ですので、数字が間違っていないとしても、その解釈には一定の思惑が反映されていると考えるのが自然です。実際、プレスリリースの中では自社製品のプロモーションにつなげているわけですし、そこは割り引いて読む必要はあると思います。ただ、解釈を別としてその数字の部分だけを見ても、2つ目の「オフィス勤務よりテレワークの方が仕事がはかどりますか?」という問いに対し、Yesと回答した人の割合が日本だけ半数に満たなかったという結果には少々驚きました。

その理由として――これはこの調査結果に限らず言われていることでもありますが――紙にハンコという日本企業の文化がフォーカスされがちですけれども、その紙とハンコ文化に代表されるような仕事の進め方、あるいは「仕事の進め方についての考え方」に本当の原因があるのではないかなと感じます。ちまたではDXというキーワードが流行っていますけれども、その考え方の部分を変えない限りはツールをハンコからITに変えたところで、仕事の捗り具合はそれほど変わらないのではないかなと思ってしまいました。ITはあくまでも手段だということです。

転職についての設問も興味深かったですが、労働者ではなく起業家として考えた場合でも、今から新しく会社を起こすのであれば、当然紙にハンコという仕事のやり方はしないでしょうね。



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