プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
米グーグルとマイクロソフトが法人登記、法務省要請に応じる…ツイッターやメタは未登記(2022/07/25 読売新聞オンライン)
これは先月7月25日に報道されたニュースで、アメリカのグーグル社とマイクロソフト社が、日本の法務省の要請に応じて法人登記を行ったという内容です。
この記事を読んで頭の中がはてなマークで埋め尽くされました。
真っ先に思ったのが「あれ?グーグルもマイクロソフトも日本法人あったよな。なのに登記してなかったなんてことある?」ということです。
これのカラクリは会社法という日本の法律が深く絡んでいるのですが、どういうことなのかをこの記事で解説してみたいと思います。
そもそも、このニュースの発端ですが、7月1日付のニュースで報道されていました。
未登記の海外IT大手7社に罰則 Twitterなどは登記検討(2022/07/01 日経電子版)
この記事によると、法人登記をしていないのに日本で継続してビジネスをしている外国企業48社に対して、今年の3月に登記を要請したそうです。ただ、みんながみんな「はい、分かりました」って登記をしたわけではなかったので、法務省が6月に未対応の42社に再び登記を要請したそうです。
それを受けて、グーグル社は7月7日、マイクロソフト社は7月11日に法人登記を完了したというのが冒頭のニュースです。その記事の中ではツイッター社とFacebookを運営しているメタ社は未対応としています。
冒頭の疑問、「グーグルもマイクロソフトも日本法人があったよな?」についてですが、確かに存在しますし、日本でビジネスを行っています。ただ、これはあくまでも日本支社であるというところがポイントです。
会社法では第817条1項に「外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。」とあり、更に第818条1項に「外国会社は、外国会社の登記をするまでは、日本において取引を継続してすることができない。」とあります。
日本法人と外国会社は異なるということですね。日本法人は日本国内に本店を置く会社ですが、外国会社は国外に本店があるけど日本でビジネスをしている会社ということができます。
ここからは一部推測になってしまうのですが、7月1日のニュース記事の中で「政府は電気通信事業法の届け出をしている海外IT大手48社に登記義務があると判断し」とありまして、グーグル社もマイクロソフト社も、電気通信事業者として届けているのが本国の法人だったのではないかと思われます。なので政府は、電気通信事業者として届けられている法人に、日本における代表者が登記されていないということで指摘をしたのでしょう。
グーグル社も、マイクロソフト社も日本国内向けのモバイル端末を販売していますので、それで電気通信事業者として登録しているのだろうと思われますが、今回の法務省からの指摘を受けて、電気通信事業を廃止した外国企業もあったということです。それってどうなの?と思いますよね。既に事業は撤退しているので実情に合わせて廃止を届けたのか、芽が出てなくて迷ってたところに登記を要請されたから撤退を決意したのか、どちらもありそうです。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
電気通信事業者以外で、日本で継続的にビジネスをしている外国企業は沢山ありそうですが、他に届けをしていなければ指摘しようがないということなんでしょうか。でも、少なくとも今回の要請に応じなかった外国企業には罰金が科される見通しだとのことです。
ちなみに、6月24日の法務省の通達により、日本における代表者は法人でも弁護士でも良いということが明示されました。なので、グーグル社は日本法人を、マイクロソフト社は弁護士を日本での代表者に据えたそうです。
まあ、この制度の主な目的が訴訟対策だと引用したニュース記事には書かれているので、出廷要請が必要な時にできる状態にしておければ問題ないということなのでしょう。
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