開発環境でのエラーは軽視すべきでない

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

システム開発において、
製品版としてリリースするまでに
様々なエラーに対して出会いと別れを繰り返します。

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COBOLは高齢者の言語なのか

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

最近ニュースでよく耳にする
厚労省の「毎月勤労統計」に関する不正問題。
その調査結果についてのあるネット記事で
プログラムがCOBOLで「高齢者しか読めない」と書かれ、
それに多くのIT技術者が反応しているようです。

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手戻りを認めないプロセスに未来はあるか

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

今回は開発プロセスのお話です。

10年以上も前から
ウォータフォール型開発の欠点が指摘され
アジャイル型開発が多く実践されてきていますが
未だに旧来のウォータフォール型開発に
固執している現場があるというのは残念なことです。

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起業の失敗は恥ずかしい事なのか

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

起業は誰でもできることなのでしょうか。
あるいは限られた人にしかできないことなのでしょうか。

前回、独立して働く働き方について書いたところ
予想外の反響がありました。
「独立して働く」ということに対する
関心の高さが伺えます。

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失敗はできないから新しいことが出来ないという呪縛

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

マネジメントをサポートするという職業柄、
管理職・マネージャー職の方から
業務上の様々な課題について相談を受けます。
相談の内容は様々ですが、
現状ではやや行き詰まりを感じており、
どうにかしたいと思っておられる方ばかりです。

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「図解 使える失敗学」畑村洋太郎 著

IT業界で仕事をしていると、様々なことが技術的な問題として片づけられやすいのですが、実際には人の問題であり、突き詰めると組織の問題だったということが往々にしてあるものです。担当者によってスキルはばらつきがあると思いますが、個々の担当者はレベルが高いのに失敗が起こるとしたらそれは組織の問題と捉えて良いだろうと考えています。

多くの場合に失敗は現場で顕在化するため、組織は現場の問題として片付けたがる傾向がありますが、もし問題の根っこがプロセスや組織にあるとしたら、現場の問題、個人の問題として扱っている限りは失敗は無くならないでしょう。それ以上現場の担当者を責めても励ましても効果は上がらないと考えるべきです。

「失敗学」といえば元々は製造業界や建築業界で発生した事故の分析というイメージがありますが、今ではそこに留まらず幅広く組織で発生するトラブルを分析されているようです。本書は、失敗学を紹介する本ではなく、そんな失敗学の研究の成果を個人レベルで実践できるようにアレンジされたものです。見開きで右ページの本文と左ページの図解がセットで1つのトピックとなっており、読み進めやすく構成されています。

大まかな章立ては次の通りです。

  1. 失敗との向き合い方(個人レベルでの)
  2. 失敗の発生原理と知識化
  3. 失敗からの学び方(失敗を成功に変えるには?)
  4. 失敗学を組織に応用する方法

こうして見ると、最初は確かに個人レベルの話なのですが、最後は組織レベルの話になっています。担当者一人一人が担当者としてスキルアップすることが、必ずしも組織としてレベルアップすることと等価ではなく、行きつくところは組織レベルでの取組みが必要だと理解しました。本書にもあるように「組織としての失敗対策はトップダウンしか為し得ない」ということです。

失敗についての情報はどうしてもネガティブなものとして捉えられ、蓄積や活用が進みにくいものです。特にトラブルの直接的な引き金になった担当者であれば尚更だと思います。そういうこともあり、組織のトップが率先して現場の失敗情報を吸い上げ、それをまた各現場に下ろして組織全体に行き渡らせるといった取組みが必要なのだと考えています。


書名:図解 使える失敗学
著者:畑村 洋太郎
発行:中経出版/2014年7月31日
ISBN:978-4-04-600238-9

のど元を過ぎ、熱さを忘れてしまわないうちに…

今回の震災、特に津波の被害の映像は何度見ても悲劇的です。「映画を見ているようだ」と形容している人もいます。

さて、この東日本の太平洋岸を襲った大津波ですが、ふと、10年近く前に読んだある本の事が頭をよぎりました。それは畑村洋太郎氏の「失敗学のすすめ」というタイトルの本です。当時、仕事の周辺でとある失敗の取扱われ方に疑問を抱き、たまたま何かで知った本書を手に取ったのです。畑村氏の研究および著作は、私たちがネガティブなイメージを抱きがちな「失敗」というテーマについてポジティブに捉えさせてくれます。

少し長いですが79ページからの一節を引用します。(引用部分だけ読むとネガティブな印象を受けてしまうかもしれません。全体を通して読むことをお薦めします。)

失敗情報は伝わりにくく、時間が経つと減衰する

<前略>

失敗情報が減衰する事を示す典型例をもうひとつあげましょう。昔から何度となく大規模な津波被害を受けてきた岩手県三陸海岸を歩いたときに実際に見聞した話です。

<中略>

その三陸海岸の町々を注意しながら歩いてみると、あちらこちらに津波の石碑を見つけることができます。大規模な津波が押し寄せるたびにつくられたもので、犠牲者も多かった古い時代の石碑は慰霊を目的にしていました。その中には、教訓的な意味合いが込められたものもあり、波がやってきた高さの場所に建てられ、「ここより下には家を建てるな」という類の言葉が記された石碑も少なくありません。上の写真を見て下さい(筆者注:実際には写真が掲載されています)。この石碑にはここより下に家を建てるなと書いてあるのに、そのすぐ下に家が建っているのです。日々の便利さの前にはどんな貴重な教訓も役立たないことを物語っています。

昔から伝わるそんな忠告を人々が忠実に守り、いまでも石碑より下には絶対に家を建てないなど徹底した津波対策をとっている地域ももちろんあります。かと思えば別の地域では、便利さゆえに先達たちが残した教訓を忘れて、人が次第に海岸縁に集まっているところもありました。

そんな地域でも今では防潮堤がつくられるなど対策がとられていますが、その昔は教訓などまったく忘れたある日、再び突然やってきた津波ですべてが押し流されてしまうということもあったのです。その経験もやはり石碑に教訓として刻まれたりしますが、それでもなお一部の地域では便利さゆえに海岸縁に住み続けています。

このように一度経験した失敗がごく短期間のうちに忘れられ、再び同じ失敗を繰り返すことは珍しくありません。三陸海岸という津波常襲地帯で行われてきた過去の例にも、「失敗は伝わりにくい」「失敗は伝達されていく中で減衰していく」という、失敗情報の持つ性質がはっきりとうかがえます。

いかがでしょうか。

改めてこの箇所を読み、言葉が出なくなりました。これは津波被害に遭われた方々のことを指して書かれた文章ではありません。まさに私たちが教訓を得なければならない。身の回りで当たり前になっていることをもう一度見直さなければと強く思いました。

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書名:失敗学のすすめ
著者:畑村洋太郎
発行:講談社/2000年11月20日
ISBN:4-06-210346-X


探すと似たような記事が見つかったのでリンクしておきます

「忘れた頃にやってくる」から災害になる

岩手県宮古市の丘の上には,「ここより下に家を建てるな」と書かれていたりします

三陸海岸の石碑は警告していた