TPP論争に見る、単純化の罠(わな)

日本経済新聞のマーケット総合面に「大機 小機」というコラムがありますが、10日付では「TPPはこれからが本番」という興味深いタイトルでしたので、今回はこのコラムを基に考えてみたいと思います。

私がこのブログ記事の見出しに含めた「単純化」という言葉は、先ほどの新聞コラムで言うところの「白か黒か」、似たような表現では「All or nothing」「0か1か」「0%か100%か」「零点か満点か」。つまり、実際には複雑で多様な構造であるのに、それを単純な構造とみなして歪めてしまうことを指しています。

確かに、複雑で混沌とした対象を理解するには、両極端の例を考えてみるというプロセスは悪い選択肢ではありません。しかし、分かりやすいためにその両極端が独り歩きしやすく、そうなってしまうと対象をありのままに捉えることが難しくなってしまいます。TPPの論争では実際にそうなってしまいました。

TPP賛成派はTPP参加のメリットと不参加のデメリットを主張し、一方、TPP反対派はTPP参加のデメリットと不参加のメリットを主張しています。そして、お互いに話を聴こうともせず一歩も譲らない…そんな硬直化した論争、それは全く議論になっていません。賛成派だけの集会、あるいは反対派だけの集会の存在がそのことを良く表しています。

冒頭にご紹介したコラムにも書かれていましたが、TPPは仮に参加しても参加して終わりというものではありません。参加した後どうするのかが重要なのであって、参加するのが是か非かという二元論では語れないのです。そんな当たり前で重要なことが、単純化によって見え難くなってしまっているのが現状ではないでしょうか。

これは何もTPPに限ったことではありません。ビジネスの現場では日々、いや時々刻々と判断を迫られます。その時、0か1かという単純化の罠に陥らないように気を付けたいと思います。



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