ふりかえりのフレームワーク「KPT」を更に活用する

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

改めてふりかえりの必要性を説くまでもなく
ここ数年で「ふりかえり」という言葉はあちこちで聞かれるようになりました。
それはふりかえりの重要性、必要性が浸透してきているのだと理解しています。
では、そのふりかえりを効果的に行えているでしょうか。

…ということで前回の記事では、
闇雲に意見を言い合っていても良いふりかえりができるわけではない
ということについて書きました。

第1段階:とにかく吐き出す

ふりかえりのフレームワークで有名なのはKPTケプトと言われるものです。
名前は知らなくても覚えなくても構わないですが、次のような構造をしています。

KPTの基本形

KPTの基本形

  • K:うまく行った取組み。今後も続けたいこと。
  • P:うまく行かなかった取組み。次は改善したいこと。
  • T:今後試したいこと。KやPに対する具体的な施策。

「K」はKeepの頭文字で「今後も続けたいこと」を書きます。
具体的には、良かったこと、うまく行った取組みについて列挙します。

次の「P」はProblemの頭文字で「改善すべき問題点」について書きます。
結果的に良くなかったこと、うまく行かなかった取組みについて列挙します。

この時、「続けたいこと」「良かったこと」を先に列挙するのがポイントで、
「バタバタで大変な案件だったけど、意外と良い面もあったんだな」
と思ってもらえたらしめたものです。

最後の「T」はTryの頭文字で「試したいこと」「挑戦したいこと」を書きます。
この時、KとPに対応させる(それぞれT1とT2)ことがポイントで、
Kに対しては、今回うまく行ったことを継続する施策、
あるいは、より良くするための施策を書き、
Pに対しては、うまく行かなかったので、
次にうまくやるための具体的な改善策を書きます。

難しいことを考えずに、
まずはとにかくメンバーが思いつくままに列挙してもらいましょう。
メンバーが慣れないうちは、
PとTがごっちゃになってしまうケースが見受けられるでしょうが、
あくまでもPにはうまくいかなかった事実を、
Tには今後のプランをと区別した方が良いと思います。

さて、ここまでが第1段階です。
ここまででも、ふりかえりをやるのとやらないのとでは大きく違いますが、
今はただ列挙しただけの状態です。
一旦ここまでできたら更に深掘りしていきましょう。

KPTはシンプルなフレームワークですが、
シンプル過ぎるため深掘りしてノウハウを引き出すには少し物足りません。

第2段階:論理的に整理する

ここで、別のふりかえりのフレームワークYWTMの要素を組み合わせます。
YWTMというのは、それぞれ

  • Y:やったこと
  • W:分かったこと
  • T:次にやること
  • M:そのメリット

のことです。

両者の違いですが、YWTMにはKPTの「K」に該当する概念がありません。
(「Y」と「W」で「K」にあたる項目を列挙してもかまいませんが、
およそ「P」に偏りがあると思います。)
逆にKPTにはYWTMの「M」に該当する概念がありません。
アクションプランに期待する効果を表現しないので、
おそらくKPTの方が短期間のサイクルを繰り返すケースに向いているのでしょう。

KPTにYWTMの要素を付加

KPTにYWTMの要素を付加

第1段階ではKとPに実施したことを列挙しました。
今度はそれをベースにKとPの右に2列足し、
1列目には実施した結果どうなったのかを書き、
2列目にはそのような結果に至った原因を書きます。

つまり、Kのすぐ右(W1)には望ましい結果(実施したことの良い結果)を書き、
さらに右隣り(W2)には施策がうまく行った原因を書きます。
そして、Pのすぐ右(W’1)には望ましくない結果(実施したことの良くない結果)を書き、
さらに右隣り(W’2)には施策がうまく行かなかった原因を書きます。
原因を書くことでアクションプランがその対策となりうるかを評価できます。

次ですが、第1段階ではTに次回のアクションプランを列挙しました。
今度はそれをベースにTの右に1列足し、
アクションの効果(M=メリット)を書きます。
メリットを書き出すことでそのアクションプランの妥当性を評価しやすくなります。

悪かった点とその原因を他責思考で(=人のせいにして)考えていると
どうしてもアクションプランを打ち出すことができませんので、
妥当なアクションプランが書けるということが健全な反省につながります。

ここに示した方法は一例ですが、
皆さんのチームでいろいろ試してみることをお奨めします。
ふりかえりを継続していくと、やがて成長を実感することができるはずです。



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