Java有償化のインパクト

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

9月にJava SE 11がリリースされました。
これ以降は業務や商用で使用するには
有償のライセンス契約が必要になりました。

今回はこの問題を取り上げたいと思います。

オラクル社が提供しているプログラミング言語Javaは、
登場してからこれまで長い事無償で利用することが出来ました。

これまでも必要に応じて
有償サポートを受けることが出来ましたが、
Java SE 11以降は有償のライセンス契約が
必須となったのです。

インターネットで見つかる記事の中には
「無償で使えるがアップデートは有償化される」
という記事も散見されます。
確かにそういう憶測もあったのでしょうが、
今となってはその記載は誤りです。

実際にはダウンロードして
無償で使える範囲は開発用途のみ
(正確には「開発、テスト、プロトタイプ作成、
及びデモンストレーション」とあります。)
セキュリティアップデートの要否に関わらず
本番環境で利用するには完全に有償となるようです。

この辺りのことは
以下の記事に詳しく書かれています。
(重要)Oracle Java 11から、ライセンス契約の内容がガラリと変わっています | 無償利用は非商用・開発用途のみ

また、旧ライセンスが適用される
Java SE 8については、
2019年1月に公式アップデートが終了します。
(デスクトップ・アプリケーションなどで利用している
個人ユーザーに対しては2020年12月まで)

JDKの新しいリリース・モデルおよび提供ライセンスについて

いずれにせよ、
Javaで構築した情報システムを
本番運用している企業は
何かしらのアクションが必要で、
個人的な感覚では
ものすごいインパクトがあると感じています。
実際に騒ぎになっている現場の話も聞いています。

一方で不思議なことに、業界全体としては
そこまで大騒ぎになっていない
というのも個人的な印象としてあります。
いったいどうしているのでしょう。

(1) 素直にライセンス料を払えば済むので金で解決

大企業であれば
これが現実的な選択肢となるでしょう。
サーバーを仮想化して節約したコストで
お釣りがくるくらいではないでしょうか。

(2) 元々OpenJDKを使用している

以前はOpenJDKというと
「大丈夫?」という漠然とした
不安が付きまといましたが、
OpenJDK 11からは、Oracle版JDKと
機能は全く同一で
ライセンスだけの違いとなったようです。

(3) いまだにJ2SE 1.4や1.5を使っている

信じがたい話ですが、
大規模で硬直化したシステムでは
普通に使われていたりします。
どのようにセキュリティを担保しているのか
疑問は残りますが、
そのような企業では今後もスルーでしょう。

(4) そもそもJavaなんて使っていない

20年くらい前は
「これからはJavaの時代だ」ということで
エンジニアはJava言語さえ習得していれば大丈夫
という時期が長く続きました。
実際、Java言語しかできない
というエンジニアはそこそこいると思われます。

10年くらい前までは
ちょっとしたWebシステムであれば
Perl、PHPやRubyといった言語が使われてきましたが、
「ちゃんとした業務システムはJavaでないとね」
といった意見を多く耳にしました。

しかし、10年前くらいからは
そういったスクリプト言語でも
業務システムを効率的に構築できる
フレームワークがどんどん成長し、
昨今のコスト削減、短納期化の流れに乗って
割と一般化してきています。

個人的な推測ですが、今後Javaは
COBOLのような存在になるのではないかと思います。
つまり、完全に消滅はしないが
エンジニアからは敬遠される存在。
海外は分かりませんが、
日本の古くて大きな企業でいまだにCOBOLが
現役で稼働していることを考えると、
Javaもそのような扱いになることが想定され、
あるいはJavaの方が置き換えがしやすいため
先に消滅する可能性すらあると思います。

社内でJava言語のエンジニアを
中心に育成してきた企業は
路線転換を迫られるでしょう。



関連記事

プロマネの右腕

クロスイデアでは、新サービス・新ビジネスの 立上げや計画を中心に
プロジェクトマネジメントの支援を行っています。

新サービスの企画を任されたけど どう進めていいか悩んでいる担当者、
部下に新しい企画を任せたけど このままで大丈夫か不安な管理職の方、
以下のサイトをご参照ください。
https://www.crossidea.co.jp/services/right-hand-pmo.html

YouTubeにて動画配信中!

プロジェクトマネジメントのノウハウを
YouTubeで配信しています。
ブログと併せてご活用ください。

Comments are closed.