標準化の功と罪

ITコーディネータの吉田聖書よしだみふみです。

様々な職場にお邪魔して
一定期間支援することになると
この「業務の標準化」というテーマが
少なからず出てきます。

今回はこの標準化の功罪について
考えてみたいと思います。

業務の標準化というのは
ある特定業務の全部あるいは一部を
作業手順を定義することで
誰でも同じ品質で確実に
業務を遂行できるようにするということです。

例えば、標準化がなされていないと
個々の担当者がそれぞれの基準で作業を行い
製品やサービスの品質にばらつきが出るため、
信頼低下による顧客離れや
クレーム対応ややり直し等による
コスト増加につながるリスクが出てきます。

そのため、ベンチャー企業のような小規模企業が
大きくなろうとするときの足かせになります。
そこまで壮大な話でなくても、
日々の業務やプロジェクトのタスクにおいても
業務を標準化するということは、
ノウハウや手順を文書化することで
成果物の品質のばらつきが減少します。
それが結果として
手戻りやミスによるやり直しを減らし
組織やチームの生産性向上につながるものです。

ところが、私個人としては、
本当にそれで良いのだろうかという思いが
頭をよぎることがあります。
それは何故か。

一つは標準化することによって
メンバーに指示待ち人間が増え、
例外に弱くなるということです。
標準化前には、みんなが走りながら考え、
どのような状況にも対応してきました。
整理はされていないけれども柔軟だったのです。

ところが標準化してしまうと
考えなくても仕事が出来てしまう。
むしろ考えることよりも、
決められたとおりに仕事することが
作業者に求められるのです。

そうすると、
マニュアルに書いていない事態が発生した場合、
普段から考えて仕事をしていないので、
担当者ではどうして良いか
分からなくなってしまうのです。
上司にエスカレーションすれば良い
と考えるかもしれませんが、
結果として指示待ち人間が
ますますその傾向を強めることになります。

もう一つ、「標準化」の作業というのは
非常にクリエイティブなもので、
個人的にはとてもワクワクする作業です。
混乱した状態が整理されて
スッキリとした気分を味わえるというのは
これまた得難いものがあります。

一方で、標準化された後の業務が
何か無機質で味気ないものになっていないか。
もっと言うと、つまらない仕事になっていないか
ということが気になっているのです。

もちろん、決められた作業を
その通りに実行することが得意な人もいますし、
実際そういう方がいるから
会社組織が回るという側面もあります。
標準化前は大変だったけど楽しかった、
でも標準化後は成果は上がったけど楽しくないと
感じてしまう人も一定数いるのではないかと思います。

ですから、
会社のライフサイクルの中でステージが上がると、
必要とする人材像が変わるのだと思います。
別の側面から見れば、
立ち上げ時から貢献してくれた
古参の社員が離脱していき、
新しく加わった多くのメンバーが
活躍することになります。

標準化は組織を成長させますが、
組織の成長にはそういった側面があることを
今一度肝に銘じたいと思います。



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