プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験において、2023年度から基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験の2区分を通年実施すると発表しました。
公式のニュースリリースはこちら。
基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化~試験時間の短縮、プログラミング的思考力の重視など出題形式・出題範囲も変更~
(2022/4/25 独立行政法人情報処理推進機構)
基本情報技術者試験(FE区分)はITエンジニアの登竜門という位置付けの試験で、ITに関する基本的な知識・技能を評価する国家試験です。登竜門って私は学生の頃に初めて知った言葉ですが、そういう名前の門があるわけではなく、中国の黄河に「竜門」と呼ばれる急流があるそうで、その竜門を遡上する(つまり急流を登る)ことを登竜門と言い、転じて、成功するための厳しい関門のことを登竜門というそうです。
また、情報セキュリティマネジメント試験(SG区分)は組織の部門における情報セキュリティリーダー向けの試験で、脅威から継続的に組織を守るための基本的な知識・技能を評価する国家試験です。私もこの区分の第1回の試験を受けたことがありますが、セキュアコーディングのような実装技術的な知識よりは、マネジメントの知識を問うものなので、基本情報に比べたらITエンジニア向けではないとも言えます。
この2つの試験はいずれも2020年度からCBT(Computer Based Testing)方式での実施に変更されました。CBTっていうのは簡単に言うと、紙と鉛筆の代わりにコンピュータで出題と解答を行う形式の試験方法です。ITパスポートは既にCBTで、かつ通年実施されていますので、それに追随するということでしょう。
ちなみに情報処理試験以外の様々な試験でCBTが導入されています。私もVEリーダーとITコーディネータの試験はCBTで受験しました。あと、私はペーパーで受けたんだけど現在はCBTで実施されている試験もあります。試験が終わるとすぐに結果が出るというのがCBTの良い所ですよね。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
さて、今回の発表で一番大きなニュースは、おそらく基本情報試験の出題範囲の変更でしょう。基本情報の午後問題では具体的なプログラミング言語の知識を問う問題が出題されています。基本情報試験が開始された2001年度からC言語、Java言語、COBOL、アセンブラ言語の4つの言語の問題が出題されていました。2009年度から表計算ソフトというのが加わり、2020年度からCOBOLに替わってPythonの問題が出題されるようになったそうですが、それらプログラミング言語別の問題を廃止し、擬似言語を使った問題に統一するということです。
擬似言語というのは、本物のプログラミング言語ではなく(この場合は試験用に定義された)仮想的なプログラミング言語のことで、実際の言語特有の構文とかお作法的な部分ではなく、プログラミングの本質的な考え方にフォーカスできるので、「基本情報」としては妥当な出題内容だと思います。まあ、実際の言語で出題するとある程度トレンドも取り入れなければいけないですし、何種類も問題を用意することを考えると、作問の工数を削減したかったのかなとも思います。
基本情報は、理系の大学や、高専(高等専門学校)で情報工学やコンピュータの理論を学んだ人であれば、特別な試験勉強をすることなく合格できるレベルの問題です。そういう人にとっては登竜門と言うほどの難関ではないであろうと思われます。逆にそういったことを学んでこなかった人がITエンジニアになろうと思うのであれば、まずは基本情報の合格を目指して取り組まれるのがよろしいかと思います。来年度から年2回という制約がなくなるので、これを機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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