プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
4月19日に、独立行政法人 国民生活センターがプレスリリースを出しまして、日本円に見えて実は中国人民元で決済される通販サイトが存在するという注意喚起を行いました。
その「¥」表示は本当に日本円の表示ですか?-通貨をよく確認しないと約20倍の価格になってしまうため要注意!!-(2023/4/19 独立行政法人国民生活センター)
プレスリリースによると、消費者生活センターに寄せられた相談事例が紹介されていまして、ある通販サイトで商品の金額が「円」ではなく通貨記号「¥」で記載されていて、その商品をクレカで購入したら、実はそれは日本円ではなく中国人民元で、後日カード会社から想定の約20倍の金額が請求されたというものです。一応、通販サイトのどこかには通貨が日本円ではなく人民元であることが書かれていたようなのですが、相談者はてっきり日本円だと誤認したまま購入してしまったということです。
インターネットが普及し始めて、インターネット通販が当たり前になると、私も海外のサイトで日本円以外で決済するという経験が(それほど多くは無いですが)増えてきました。日本円以外と言っても、私の場合は欧州のサイトでもUSドルで決済したような記憶があります。
でも、改めて振り返ると、ドル記号「$」で金額が書かれていたからと言って、それがUSドルであるという保証はありませんよね。カナダドルかもしれないし、オーストラリアドルかもしれないし、シンガポールドルかもしれない。おそらく現地では(少なくとも日常生活で関わる範囲においては)ドル記号で表記することが多いのではないかと推測します。
日本でも、日常生活で関わる範囲においては円記号だけで日本円を意味するという前提で買い物をしています。それが、インターネット通販では事情が異なるということです。通販業者に悪意があったにせよ、なかったにせよ、通販利用者としては気を付けたいところですね。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
利用者としての注意喚起はそれくらいで良いかと思いますが、システムの提供者あるいは開発者の視点でもう少し掘り下げたいと思います。
私がある業務システムの開発に携わっていた時に、最初は日本国内の金額しか扱わなかったので金額を円記号で表記していたんですよ。そこで機能を拡張して外国通貨の金額も扱うようになりまして、日本円は円記号「¥」のままで、拡張される外国通貨は ISO 4217 の通貨コードで表記をするという仕様を提案したところ、「円記号は中国でも使うので日本円も通貨コード(JPY)で記載すべきだ」という指摘を受けたことがあります。
その指摘はごもっともで、そのように対応したんですけれども、一方、通販サイトをいくつか見て見たら、漢字の「円」で金額を表示しているサイトと、円記号で表示しているサイトに分かれているようですね。楽天とかヤフーのように国内の会社は漢字で、AmazonやGoogleのような外資系の会社は円記号で表記しているところが多いように見受けられました。
いずれにせよ、通販サイトあるいは情報システム提供者としては、利用者に迷わせない、誤認させないという配慮が必要です。このプレスリリースをきっかけとして、今後は標準的に ISO 4217 の通貨コードを使うということが、システム運営者の裁量ではなく、業界、あるいは世界的に標準化されていくと、今回の相談事例のような事件は減っていくのではないでしょうか。
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