ロボットフレンドリーな施設環境を目指し業界団体を設立

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構という組織が設立され、その組織自ら設立した旨のプレスリリースを出しました。

プレスリリースはこちら。

一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構設立のお知らせ(2022/10/05)

プレスリリースによると、元々経済産業省が2019年に設置した「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」(長いですよね…)という組織がありまして、単に検討するだけではなくて2020年度から具体的に予算をつけて事業を開始していました。コロナ禍をきっかけとしてロボットが活躍し始めた印象がありますが、取組そのものはそれ以前から始まっていたんですね。

そのタスクフォースでは4つの分野(施設管理、食品、小売、物流倉庫)で取組を進めていまして、その中の施設管理分野で「産業界がスピード感を持って自発的にロボットの活用について検討を行うため」に設立されたのが、今回取り上げる組織だということです。

この辺りの経緯は経済産業省の発表しているニュースリリースに詳しく出ています。
(説明欄にリンクを貼っておきますので、ご興味のある方は是非ご覧になってください)

ニュースリリースはこちら。

ロボットフレンドリーな環境の実現に向けた取組が加速しています~各予算事業の採択に加えて、ロボフレ推進法人の新設などの取組~
(2022/10/5 経済産業省)

ところで、経産省のニュースリリースもそうなんですが、「ロボット」が何を指しているかについては明示されていません。ここ数年、RPA(Robotic Process Automation)の企業への導入が進んでいますが、ここで動く仕組みもロボットと呼ばれます。ですが、経産省が言うロボットはおそらくそういうことではないでしょう。文脈から判断するならば、オフィスや倉庫、商業施設などで自律的に稼働する機械のことをロボットと呼んで良さそうです。

では、ロボットフレンドリー施設推進機構が何をするのかということですが、3つ書かれています。1つ目は協調領域の整理、2つ目は「ロボットフレンドリー環境」の定義、3つ目はロボットの共存環境の構築です。言葉が難しいですけれども、IT業界的に言うならば、1つ目はインタフェースの標準化、2つ目はロボットと施設環境のインタフェースの検討、3つ目はロボット間のインタフェースの検討ということになろうかと思います。

先ほど、ここでのロボットを「オフィスや倉庫、商業施設などで自律的に稼働する機械」と表現しましたが、そういった施設にロボットを導入しようとした場合、ただロボットを配置する場合と、施設の特徴にフィットする形で配置する場合とでは明らかに後者の方が効果が高そうですよね。

例えば施設にはエレベーターやエスカレーターなどの昇降機やフラッパーゲートなどのセキュリティシステムが存在します。そしてそれらのシステムはそれぞれにメーカーがありますので、ロボットがそれらのシステムと連携するには、それらのシステムのメーカーごとに連携方式を擦り合わせる必要があって、これはとてもじゃないけどやってられないですよね。なので簡単に言うと、その辺りのインタフェースの標準化を目指すというのが、活動の1つ目「協調領域の整理」です。

2つ目の「ロボットフレンドリー(ニュースリリースでは「ロボフレ」と呼んでいますが)環境の定義」も似たような話で、「ロボットフレンドリーというのはこういう施設のことですよ~」というのを定性的にではなく定量的に表現するということです。定量的に表現されれば、新しく施設を設計する時に、あるいは既存の施設をリフォームする時にその定義を参照することが想定されます。

3つ目の「共存環境の構築」というのは、ロボット間のインタフェースですよね。今のところ想定されているのは、ロボット同士のすれ違いだけのようですが、将来的にはそれだけではないだろうと思います。例えば、重いものを牽引する時に、1台だと運べないので応援を呼んで、複数のロボットで一緒に牽引するみたいなことが(これは私の妄想ですが)実現できるかもしれません。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


この分野に関しては思うところがありまして、既存の施設にロボットを導入するという場合はどうしても人間と同じところを移動するということになってしまいます。まあ、これは当たり前ですよね。でも、新しく作る施設については、もうちょっと前提を変えてもいいんじゃないかなと思うんですよね。

どういうことかというと、ロボットの目的によって違いまして、例えば清掃ロボットだったら床を掃除するわけですから床を走行しなければいけないと思うんですが、運搬だったらロボット専用のエレベーターとか、ロボット専用の通路を設置してもよさそうです。つまり、これから作る新しい施設については、人間と同じ場所を自律走行するロボットを導入することだけを考えるのではなくて、もっと最適なロボットの形があるのではないかなと思った次第です。



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