会社員とIC(インディペンデント・コントラクター)の間

本日はIC協会の月例セミナーがあり、参加してきました。テーマは「どうつくる『好きを究める協働型組織』」ということで、プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役の秋山進氏がご講演をされました。秋山さんは知る人ぞ知るIC協会の初代理事長で、現在もIC協会の顧問をされています。久々の秋山さんの登場とあって、参加者もいつもより多めでした。

雑談レベルでは「秋山さんは、自らICではなくなった」というような批判めいたご意見を耳にすることもあり遺憾に思っていたのですが、今日のお話を伺って「全然そんなことは無い。むしろ秋山さんはやっぱりICだ」という確信を抱きました。

とはいうものの、今日のテーマはICというよりは、ICが「第3の働き方」だとすると「第4の働き方」とでも言いましょうか。ICというのは自立していてオールマイティに何でも自分で出来ちゃう人というイメージがありますが、そうではなくてやらせればすごく出来るんだけれどオールマイティではない、良い意味でオタクっぽい人にフォーカスしていました。事実、秋山さんは現在そういう方々を個人事業主あるいは法人としての契約を結びながら束ねておられます。これはIC協会を立ち上げたとき以上にチャレンジングなことだと思うのですが、使命を持って活動をされています。

独立というのは元々コンサルティングとか営業とかをされていた方にとっては何も難しいことは無いのですが、技術職や専門職でやってこられた方にとっては営業や集客といった面で壁にぶつかることが多く、私もどちらかというと後者なので今日のお話には膝を打ちました。実は私も常々こういった個人事業主や一人会社の方々と協業できたらどんなに良い事かと思い巡らしていたからです。

本当の意味で独立独歩なICにとってはIC協会という組織も不要で、でも私みたいに出来ることに偏りのあるICにとっては、IC協会という組織にサポートしてもらいたいという気持ちは少なからずあるだろうと思います。もちろん中には「ICとはこうあるべき」という高い基準をお持ちのICもいらっしゃいます。ですがそれは少なくとも秋山さんが想定しているIC像ではない。もっと気楽にゆるくやれるICのスタイルを垣間見た気がしました。具体的なことについては追々書きます。

まだ消化し切れていませんが、このことについては考えを深めていきたいと思います。


混雑時でもレジで待たされないパン屋さん

本日12日付け日経新聞の首都圏経済面に面白い記事がありましたのでご紹介します。DONQというパン屋さんのチェーンがありますが、明日、西国分寺にオープンする店舗で新しい会計システムを導入するということのようです。

その新しい会計システムというのは、画像認識の技術を応用してパンを載せたトレーをカメラで撮影し、その画像を基に商品を特定して合計金額を表示するというものだそうです。

この記事を読んで「なるほど」と思いました。週に1回くらいは近所のパン屋さんを利用するのですが、いつも感心するのはどの店員さんもパンを見ただけで商品名を暗唱しながらレジを打っていく事です。店によっては種類も豊富で、よく間違えずにレジ打ちが出来るものだと思います。おそらく新人のアルバイトはまず商品の名前と単価を覚えるところから始めるのでしょうね。

ただ、いくら店員さんの処理能力が高いといっても、混雑時にはやはりレジに並んで待たされますよね。今回の会計システムは、混雑時でも待たされること無く会計が出来る画期的なものです。課題があるとすれば、パンは全く同じ形ということはありえませんので、ある程度の割合で誤認識が発生するのではないかということです。この辺をどうやって補正し、あるいはシステムにパターンを学習させていくかが運用していく上での鍵となるのではないでしょうか。期待したいです。


組織として成果を出せるようになるためには?

7日にJSDG(日本システムアドミニストレータ連絡会)の第36回東京ミニ研修会が開催され、参加してきました。私自身は半年振りの参加です。発表者はY2研究所の吉田裕美子さん。タイトルは「どう違うの? 外資系企業の情シス・シスアドの仕事」、テーマは「日・米『良いとこ取り』で考える、シスアドのためのリーダーシップとチーム力」という内容でご講演を頂きました。

リーダーシップについての話は別のエントリに書くことにしますが、日本において典型的な外資系企業、特にアメリカ企業の日本法人のイメージというとどんな感じでしょうか。外資系企業で働いた経験のある知人によると、社員ごとに役割分担が明確で、自分の仕事だと認識していないことについては協力せず、社員同士が足の引っ張り合いをし、また、社員の入れ代わりが激しく、多くの人が腰掛けのつもりでいて、給料は高いが帰属意識は低いのだそうです。

吉田さんの話ではこれらに加えて、明確なJob descriptionがあり、成果にコミットする仕事のやり方をし、人選はトップがコストパフォーマンスを考えて行うのだそうです。この考え方の根底には一人ひとりが高い成果を出せば、組織全体の成果が高くなるという発想があります。しかし、それがうまくいくこともあるでしょうが、たとえそうだとしてもそれは長続きしません。一方で、日本企業の良いところを取り入れた外資系企業もあり、そこでは社員同士が協力し合ってチームとして成果を出すため、人が辞めていかないのだそうです。こちらの考え方の背景には、個人ではなくチームとして成果を出すということを意識している点。そのために銘々の強みを組み合わせるようなチーム作りが行われているとのことです。

面白いと思ったのはこれだけ明確に両極端の会社がある一方で、どちらともつかない会社があるということ。これは成果主義を取り入れている会社に多いのではないかと思いますが、人事制度には業種によって向き不向きがあるようで、多業種に事業を展開していながら画一的な制度を敷いている会社はそういった制度疲労を起こすケースがあるのではないかと感じました。

じゃあ結局どちらのタイプがいいのさ、という話ですが、これは人それぞれ好き嫌いもあるので一概にどちらが優れているということではないのですね。自分がどちらのタイプの組織で働きたいかという問いを自分に対して発してみましょう。そして、後者のタイプの組織がうまく機能するための秘訣が「リーダーシップ」なのだと理解しました。