「ワーク・シフト」リンダ・グラットン 著

皆さんは今の働き方、今の職場の将来に対して不安を感じたことはありませんか。この問いに対する答えは職業だけでなく年齢や地域など置かれている状況によって様々でしょう。しかし、あと数十年は働かなければいけない私たちの世代にとって、これから先、どのような社会になっていくのかというのは無視できない話題です。

今回ご紹介する「ワーク・シフト」というのは2025年、つまり今から12年後の世界の未来の世界を描き出し、そのような世界において活躍できる(という表現が相応しいか分かりませんが)働き方を提唱している書物です。これは先日IC協会のセミナーの時に先輩ICの方からお奨めされた本です。12年後って意外とすぐですよね。

本書は4部構成になっていて、第1部は12年後を特徴づける5要素について述べています。その5要素とは、

  1. 今よりもテクノロジーが進化する
  2. 今よりもグローバル化が進む
  3. 今よりも高齢化・長寿化が進む
  4. それらに伴って社会が変化する
  5. 今よりもエネルギー・環境問題が悪化する

というものです。これらを踏まえて、第2部では、もしこの12年後を「漫然と迎えた場合」にどういった生活が待っているのか、そして第3部では、逆にこの12年後を「主体的に生き続けて迎えた場合」にどういった生活が待っているのかについて描き出しています。最後の第4部では、主体的に生きるための具体的な方法について「シフト」というキーワードで提案しています。

ワーク・シフトとは働き方を変えるという意味ですが、働き方の何を変えるのか、何に変えるのか、どのように変えるのかというのは最終的には個々人が主体的に選択をしていかなければならないということが言われています。ヒントとして、次の3つが挙げられています。

  1. キャリアのシフト(ゼネラリスト志向の終焉)
  2. 人間関係のシフト(新しいネットワークの構築)
  3. 価値観のシフト(収入から経験へ、評価基準の変化)

12年後の世界で勝ち組(という表現が個人的には好きではありませんが)でいるためには、これらのシフトを実践する必要があるということです。

但し、こうしたことを選択していくということは、何かを得る代わりに何かを手放すことになるという現実に着目すべきでしょう。理想の働き方が理想の収入をもたらしてくれるとは限りませんし、理想の評判を得られないかもしれませんし、理想の人間関係を築けないかもしれません。そういった選択の結果に対して私たちは責任を負わなければなりません。

このように言われてしまうと多少なりとも不安になってしまいます。かつては会社が代わりに選択してくれて責任を負ってくれた時代があり、その時は会社に全てを依存していれば良かったのですが、これからはそういう世界ではありません。そんな状況を生きなければならない私たちに向けて、著者は哲学者の引用を用いて読者を励ましています。最後にその部分を引用したいと思います。

選択にともなう不安を避ける必要はない。そういう感情を味わう経験こそが私たちの職業生活に意味や個性、現実感を与える。

今働き盛りの20~40代の方々には是非一読していただきたい一冊です。


書名:WORK SHIFT(ワーク・シフト)
副題:孤独と貧困から自由になる働き方の未来図
著者:リンダ・グラットン
訳者:池村千秋
発行:プレジデント社/2012年8月5日
ISBN:978-4-8334-2016-7


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