ITコーディネータの
皆さんがイメージするスキルのある人
あるいは優秀な人というのはどのようなイメージでしょうか。
一般的には一人で何でもこなす人、
問題が起きても次々と解決していく人、
そんなスーパーマンのようなイメージを
抱きがちではないでしょうか。
私も以前はそのようなイメージを抱いていました。
しかしある時から、
それは間違ったイメージではないか
と思うようになってきました。
ずっと以前に携わっていたプロジェクトで、
リーダーの立場にある人が
プロジェクトの遅延を上司に報告せず、
その上司も問題の把握ができないまま
後手に回ったというケースがあります。
そのリーダーは自分の力でやり切ろう、
問題が発生しても自分で何とかしよう、
と、責任感を強く持って取り組んでいました。
決して問題を隠そうとする意図はなく、
きちんとやり遂げようとしたのです。
ところが問題に対処する前に
次々と新たな問題が発生し、その結果リカバリーできずに、
気が付いた時には手遅れという状況でした。
このような例は一つや二つではありません。
ある時、金融業の知り合いが
多重債務で自己破産した人の話をしてくれました。
その人は返済が困難な状況に陥っても
何とか頑張って返済しようとした結果、
色んな金融機関から借金を重ね、
結果的に債務超過で破産してしまったとのことです。
まじめな性格ゆえに、迷惑をかけまいと
自分で問題を抱えてしまったそうですが、
もっと早く相談してくれたら
破産せずに返済することもできたのに
と嘆いていました。
問題が発生した時、
周囲に助けを求めるというのは
ある意味勇気のいることです。
なぜなら、
自分にはその問題を解決する能力がない
と自分で認めるようなものだからです。
しかし、現実問題として、
一人でできることには限界があります。
それが分かっていても、
自分の非力を認めた上で
人に助けを求めるというのは、
自分の名誉を二の次にする行為です。
しかし、それによって
多くの関係者が困難を免れることが出来るとしたら、
それ以上に喜ばれることはありません。
こうなると真面目な人=優秀な人ではなく、
問題が発生した時に、自分の力だけで何とかしようとせず
自分の名誉を犠牲にしてでも助けを求め、
周囲を巻き込んで問題を解決していく人が
本当の意味で優秀と言えるのではないでしょうか。
これは現場のメンバーか、リーダーか
あるいは管理職(マネージャ職)かということは関係ありません。
場合によっては経営者がということもあるでしょう。
どのような立場の人であっても、
自分だけで問題を抱え込むということが
望ましい状態であることはありません。
苦しい状況の中にあって、
いつでも相談できる相手を持つということ、
そして、実際に助けを求めることが出来るということが
これから必要とされるスキルの一つなのではないでしょうか。
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