ゲーム開発会社のセガが社内向け数学教材を無料公開

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

先月6月の15日、セガ公式のSEGA TECH BLOGに、社内での勉強会用の資料が無料で公開されました。これは、セガの公式ツイッターでもシェアされていて、3万件以上「いいね」がされているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

その記事がこちら。
https://techblog.sega.jp/entry/2021/06/15/100000

セガと言えば、家庭用や業務用のゲームを開発している会社として有名ですが、ゲームの開発に必要となる基礎的な数学の知識を学び直すことを狙いとして作られた資料のようです。なんとSlideshareで無料で公開されています。
これのタイトルが「基礎線形代数講座」サブタイトルが「線形代数・回転の表現」となっていて、150ページもあるんですが、社内の勉強会用の教材とはいえかなりのボリュームです。

https://www.slideshare.net/SEGADevTech/ss-249343092

これ、見てもらうと分かるんですけど、結構ガチな数学で、私も理工系の大学を出ているので懐かしいなぁと思いながらも、すんなりと理解できるものではありませんでした。おそらく高校生くらいだとチンプンカンプンかもしれません。

でも、この教材の良いところは、最終的なゴール、えっとこの教材の場合は3次元図形の回転の数学的理解ですが、そのゴールに向けて厳選した内容となっていて、そこが大学の線形代数の講義での学びとは異なる点ですね。

余談ですが、高校や大学の数学の授業でも具体的なゴールがあるともうちょっと身が入ったのかもしれないなと思います。これは高校の物理の先生が話してくれたんですが、数学というのはもともと物理現象を表現する手段として開発されたんだということです。特に微分・積分なんて言うのはその代表格ですよね。だから、数学を物理と切り離して学ぶことが不自然で、高校の数学と物理とは全く別物として学ばせられている状態なのだということを、ちょっと言葉の表現は正確じゃないかもしれませんが、そういう話を聞いたことがあります。

ここ数年人気の機械学習とか深層学習という分野でも数学は大活躍です。ITエンジニアは意外と文系出身者が多かったりするのですが、高校レベルの数学の知識はあった方がいいかなと思います。制御系ではなく情報系のシステムに携わる場合は、論理代数とか確立・統計くらいでいいのかもしれません。

もう10年以上も前ですが、GPSを使って現在地の緯度・経度を取得して、近くにあるスポットを表示するという機能を実装したことがあります。スポットの情報はデータベースに入っていて、緯度・経度の情報が登録されているんですが、三角関数を使って距離を計算して、現在地から近い順にリスト表示するなんてことをやってました。この時は三角関数の知識が役に立ってよかったなぁと感じましたね。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


教材の中でも触れられていますが、今や、ゲーム業界でもエンジンやライブラリが充実していて、数学なんてよく知らなくてもゲームが作れてしまうのだそうです。

これ、ゲーム以外でも同じですよね。エンジンやライブラリのおかげで、その部分については中身を知らなくても使い方だけ知っていれば良いという状況で、エンジンやライブラリを作る人だけが専門的な知識を持っていれば良いという側面は確かにあります。一方で、エンジンやライブラリを利用するだけの人であっても、専門的な知識を持っていれば理解が深まりますし、万が一必要なライブラリを利用できない環境であっても似たようなロジックを自前で作ることもできますので、知っていて損はないかなと思います。

ただ、一方で、こうした情報を公開する狙いって何なんだろうか…とも思います。社内の勉強会用の教材ということなので、公開しなくても本来の目的は果たしているはずです。それをあえて公開しているというところに隠れた意図がありそうで、ゲームのクリエイターになりたい人向けに情報提供して、仲間を増やそうということなんですかね。ちょっと興味があります。



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