フリーのITエンジニアにも労災保険が

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

今回は、フリーランスのITエンジニアも労災保険への特別加入が認められたというニュースを取り上げます。

これは、先月6月18日に「第98回 労働政策審議会 労働条件分科会 労災保険部会」というのが開かれまして、そこで「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」というものが審議された結果、「厚生労働省案は、おおむね妥当と認める」という答申がなされたということです。
残念ながら、現時点ではまだその部会の議事録が公開されていなくて、細かい議論の経緯は追えないのですが、その前の回の第97回部会の議事録は公開されていまして、具体的な意見の聴取が行われていましたので、それを踏まえた結論なのだろうということが推測できます。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


省令案によると、特別加入が認められたのは、フードデリバリーの配達員と、ITエンジニアということで、この省令は今年2021年の9月1日に施行されるとのことです。

省令案を引用すると、

1) 特別加入の対象となる事業として、自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業に加えて、原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業を新たに規定すること。

[資料3-1]労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱 第1-1
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000794151.pdf

これは「旅客または貨物の輸送」とあるので、対象が飲食物に限らないみたいですね。
次に、ITエンジニアですが、これが職種が多岐にわたっていて長いです。

2) 特別加入の対象となる特定作業として、情報処理システム(ネットワークシステム、データベースシステム及びエンベデッドシステムを含む。)の設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査若しくはセキュリティ管理その他情報処理システムに係る業務の一体的な企画又はソフトウェア若しくはウェブページの設計、開発(プロジェクト管理を含む。)、管理、監査、セキュリティ管理若しくはデザインその他ソフトウェア若しくはウェブページに係る業務の一体的な企画その他の情報処理に係る作業であって、厚生労働省労働基準局長が定めるものを新たに規定すること。

[資料3-1]労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱 第1-2
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000794151.pdf

こういう条文を読むときいつも思うのですが、どこが切れ目か分かりづらいですよね。1つ目が情報処理システムに関わる作業、2つ目がWebページに関わる作業、3つ目がその他の情報処理に係る作業ということのようです。

私は、現在は法人を設立して社会保険にも加入していますので、それで労災保険には加入しているのですが、法人化する前、つまりフリーランスで働いていた頃に、ちょっとした事故がありまして、具体的には、クライアント先がサーバを廃棄するのを手伝っていて、クライアント先の方がサーバからハードディスクドライブを取り出してドリルで穴を空け、私はその破壊済みのドライブを片付けていました。その時、軍手はしていたものの、ドリルで穴を空けた時に出た金屑が細かくて、軍手の網目を通って私の指に刺さったんです。

その金屑はとても細かいので自分では取ることができず、職場近くの診療所に行きました。、そうしたら受付の方から「労災ですか?」という趣旨のことを聞かれたんですよ。当時はこういう制度もありませんでしたし、フリーランスでしたので「労災ではないです」と回答した記憶があります。ただ、怪我した原因も微妙で、議事録が公開されている第97回の部会では、ITエンジニアの労災の例としては精神疾患(いわゆるメンタルヘルス)と、長時間同じ姿勢で仕事をすることによる坐骨神経痛とかヘルニアみたいな例示がされているので、もしかしたら私のケースは労災には当たらなかったかもしれません。

制度ができたからと言って必ず加入しなければいけないというものでもないですし、リスクに対する手当をしたいと思えば、今までできなかったことができるようになるということで、そういう選択肢が増えるというのは喜ばしいことではないでしょうか。

労働政策審議会のサイトはこちらです。興味のある方は読んでみてください。今回の内容に特に関係あるのは第98回の資料3-2です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126970.html



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