キャッシュレス社会への警鐘――Suica決済トラブル

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

今月初めの3月2日に、Suicaなどの電子マネーが使えなくなる障害が発生しました。今回はこのニュースを取り上げます。

電子マネーが使えなくなった時間帯は3月2日の12:20~16:15の約4時間で、私はたまたまその時間帯には買い物をしなかったので全く影響なかったのですが、その時間帯に電子マネーしか持たずに買い物をしようとした人にとってはかなり困ったのではないでしょうか。

この件に関して、JR東日本は全くニュースリリースを出していません。どうなってるのかと思ってよく調べてみたところ、JR東日本ではなく、電子決済サービスを提供している子会社・JR東日本メカトロニクスが障害が発生した当日にニュースリリースを出していました。

クラウド型マルチ電子マネー決済システムにおける不具合発生につきまして(2022/3/2 JR東日本メカトロニクス株式会社)

そのニュースリリースを読む限り、原因はシンプルにハードウェア障害ということしか書かれていなくて、どのような種類の障害かまでは詳細に書かれていませんでした。ハードウェアと言ってもサービスを構成するハードウェアは様々ありますし、対処と言っても単純に電源を入れ直したのか、ハードウェアを交換したのかレベルが様々ありますが、復旧に4時間かかったことを考えると、もしかしたらハードウェアを交換したのかもしれません。

もう何年も前に、私が構築に関わったサービスで、全然業務を知らないサーバー運用の担当者が誤って本番系のルーターの電源を落としてしまうという事故がありまして、当時どのくらいで復旧したかは覚えていないんですが、かなりの大ごとになった記憶があります。その時は障害の理由が理由だけに何とも言えない気持ちになりました。

話を戻しますと、今回の障害は自動改札には全く影響がなくて、あくまでも電子決済サービスに限定された障害だったんですが、それでも対象となる電子マネーがSuicaやPASMOの交通系電子マネーだけではなく、同じシステムを使っているiD、QUIC Pay、WAONまでもが巻き添えを食った形となっています。決済端末の種類によっては障害の影響を受けないものもあったように書かれているんですが、いずれにせよ複数の電子マネーが4時間停止したというのはかなりの影響度合いと考えてよろしいかと思います。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


ここ数年、キャッシュレス決済がかなり普及してきている印象があります。中には、キャッシュレス決済しか支払いができない店やサービスも出てきていて、時々ニュースになったりします。ただ、あくまでも個人的な感想ですが、オールキャッシュレスは話題づくりとしては良いかもしれませんが、ビジネスとして考えた場合には疑問が残ります。つまりBCP(事業継続計画)をどう考えるかということですね。

ビジネスをする側として考えた場合、普段はキャッシュレス決済オンリーでもいいと思いますが、いざという時に現金決済ができる手段を残しておかないと、今回のような障害が発生したり、近い将来あるかもしれない大規模停電が発生したりすると、商売が全くできない状態になってしまいます。

海外の事例を引合いに出してキャッシュレス決済を礼賛する声もありますし、日本のキャッシュレス率の低さを嘆く声もありますが、経済・社会のバックアップということを考えるのであれば現金決済の仕組みをゼロにしてはいけないと考えます。今回の事故が良い意味で警鐘を鳴らしてくれたのではないでしょうか。



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