1Pbpsの大容量伝送を実現する光ファイバの新技術

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

先日5月19日に 国立研究開発法人情報通信研究機構(通称 NICT)が4コア光ファイバで1P(ペタ)bpsの伝送に成功したというプレスリリースを出しました。

プレスリリースはこちら。

世界初、4コア光ファイバで毎秒1ペタビット伝送に成功~広帯域波長多重技術により伝送容量を大幅に拡大~
(2022/5/19 国立研究開発法人情報通信研究機構)

このプレスリリースは研究成果の発表なので、内容としてはかなり技術的なものです。その分野を専門としている人でないとすんなり理解できないと思いますが、その技術の進歩の凄さだけでも触れてみたいと思います。私も光ファイバについては大学の授業で習った程度の知識しかありません。参考になりそうなWebサイトをリンクしておきますので、ご興味がある方はそちらもご覧になってください。

光ファイバ/ケーブルの基礎知識(住友電工Webサイト)

光ファイバの構造をざっくり説明すると、コアと呼ばれる光の通りやすい線をクラッドと呼ばれる光の通りにくい物質で覆っています。1本のコアで通信容量を増やす技術もありますが、頑張っても250Tbpsくらいが限界らしいんですね。そこで今回は4本のコアをクラッドで包んだケーブルを使ったということのようです。単純に4コアにしただけではこれまで610Tbpsまでしかスピードが出なかったそうなのですが、今回の技術開発で1Pbpsまで伸ばすことができたということです。

普通のデジタル信号は1つの単位で電圧が高いか低いかという0と1の情報しか持ちません。それを光の性質を利用して1つの単位で8bit分の情報に変換する技術があって、それを利用してより大容量で伝送することができるようにしたのだそうです。やはり説明が難しいですね。

私が高校生の頃、アメリカ合衆国で「情報スーパーハイウェイ構想」というものがありました。私より上の世代の方は懐かしいと思われるかもしれません。当時のニュースで紹介されていたので記憶に残ったのだと思いますが、大容量の通信回線を張り巡らせるという話に何かすごいことが起こりそうだという予感がしていました。

同じ頃かちょっと後になって Fiber To The Home(FTTH) というキーワードがちらほら聞こえるようになりました。当時はまだ通常のメタル回線でパソコン通信をやっていた時代ですから、高速通信というのが夢というか憧れでもありました。同じメタル回線でも初めて家にADSL回線を引いた時には、その通信スピードに感動したことを覚えています。

私が社会人1年目で就職した会社の人たちは、これからは無線の時代だと口々に仰っていたのですが、当時はまだ光回線が普及していなかったこともあり、私だけが「これからは光ファイバの時代だ」と勝手な主張をしていた記憶があります。確かに無線通信も当時の私が想像していた以上に普及し発展しました。今回のニュースはまだ研究段階とはいえ、有線通信の方も想像以上に発展していることを知らせてくれました。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


プレスリリースには「毎秒1ペタビットは、1秒間に8K放送の1,000万チャンネル相当である。」と書かれています。まず、今の自宅の環境では4Kの恩恵も受けられないんですけれども、というのもテレビもパソコンモニターも2Kだからで、今テレビを買うとほとんどが4K放送対応なんでしょうか。それよりも大きな解像度の8K放送が1,000万チャンネルなんて想像もつきません。

大容量通信の恩恵を受けるには、それなりのハードウェアが必要になってきます。つまり、単位時間に処理する情報量が増えるということは、それが処理できるだけの高性能なコンピュータを必要とするということです。そうでなければ、せっかく大量のデータが送られてきても処理し切れずにもたついてしまうことになるでしょう。

パソコンの性能は確かに年々上がっていますが、実感としてそれほど速くなったとは感じていないと思います。それは、オペレーティングシステム(OS)の機能がリッチになってより多くの処理能力を必要とするようになっているということもありますし、ゲームや動画コンテンツなどの解像度が上がって、より多くの処理能力を必要とするようになっているということが理由として挙げられると思います。

これ以上OSの性能や、コンテンツの解像度を上げずに、快適なパソコンライフを送ることができないものかと思いますが、難しいんでしょうかね。



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