プロジェクトの体制図が重要であるという話

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

プロジェクト計画に携わらない人にとって
あまり普段意識しないかもしれませんが、
プロジェクトの体制図を作るというのは
重要なプロマネの仕事の一つです。

体制図は、効果的に作りさえすれば、
立派に仕事を果たしくれます。
今回はそんな事例をお伝えしたいと思います。

まず前提として重要なことは、
「効果的な体制図」には
役割の定義(以下、役割定義)が
セットであるということです。

役割の定義とは、
その人、あるいはチームに対して、
どのような役割(活動及び成果物)を期待するか
ということを言葉で表現したものです。

この役割定義がなく、
体制図だけで役割分担の見える化を済ませようとする場合、
(あ、この場合は体制図上に
役割名が書いてあることが前提になりますが)
その役割と役割の境界線が曖昧になり、
役割が重複するならまだ良いのですが、
逆に隙間が発生するというリスクがあります。

隙間というのは、
つまり、役割の境界線が曖昧なために、
各々が「これは私の役割ではない」と
認識してしまう領域のことです。
この領域で発生するタスクのことを
「隙間に落ちたタスク」と呼んだりします。

隙間に落ちたタスクが
クリティカルパス上にある場合、
早めに判ればリカバリーできますが、
もしそれがスケジュールの後半になって判明すると
プロジェクトの成功に暗い影を落とします。
露骨に言えば
プロジェクト全体が遅延するということです。

だからプロジェクトの最初だけでなく、
実行フェーズに入ってからも
時々は役割定義と体制図は見直した方がいいです。
状況によっては
新たに役割が必要になることもありますし、
役割としては必要だけれど、
あるタイミングでプロジェクトから切り離して
該当部門の定常業務として進めてもらった方が
都合が良いということもあるからです。

中には体制図を作らないプロジェクトもありますが、
一人プロジェクトを除いて、
そういったプロジェクトに限ってグダグダだったりします。
体制図をただ作れば良いのかというと
もちろんそんなことは無いのですが、
体制図を作ろうという意識がないのは
さすがにどうかなと感じます。

体制図で表現しなければならないのは
まずは指揮命令系統です。
誰が誰に指示を出すのか、
誰が誰に成果・結果を報告するのか、
配下のチームに対して責任を持つのは誰か
という視点で考えると分かりやすいでしょう。
これをレポートラインと呼んだりもします。
これによって管理・統制の関係が
直接的か間接的かということが分かります。

線が階層間で直接つながっていれば
直接の責任を持つということになるし、
間に別の階層があれば、責任は負ったとしても
直接の関与はできないことになります。

例えば次の体制図を見てください。

Aチームは配下のチーム全体に関わる仕事をするため
このような位置に置いているのですが、
実行部隊はBチーム、Cチーム、Dチームです。
Aチームの仕事は管理ではなく、
プロマネがBチーム、Cチーム、Dチームを直接管理できないため
この体制図は不自然で違和感があります。

ですので、次のような体制図にすると、
AチームがBチーム、Cチーム、Dチームに
情報をインプットすることができますし、
プロマネがAチームだけでなく、
他の3チームも直接管理できることになります。

あと、最初はBチーム、Cチーム、Dチームをフラットに配置して
プロマネが直接管理することを考えていたのですが、
CチームはBチームから依頼する仕事しかしないため、
この体制図は違和感があると言われたことがあります。
それは従来からそのような仕事の進め方をしていたそうなのですが、
以下のような実態に合わせた体制図とし、
その代わり、BチームがCチームの成果物に
責任を持つように変更しました。
(この図はかなりデフォルメしていますが)

それにより、関係者全員の腹に落ち、
全体がスムーズに運営できるようになった
ということがありました。

このように、たかが体制図ですが、
仕事のやりやすさに影響するということ、
そして体制図を作成することの重要性が
少しはご理解いただけたかと思います。



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