フラットな組織がそんなに素晴らしいか

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

もう何年も前の話です。
あるシステム開発のプロジェクトで
遅延が積み重なって炎上しており、
ちょっと手伝って欲しいと頼まれました。

実際にやれたことと言ったら
ごくわずかなものでしたが、
いくつか大きな示唆を得ました。
その一つが体制の話です。

そのプロジェクトには体制図はありました。
ですが、遅延を回復するために
緊急で大量に人的リソースを投入したのと、
そもそも会社単位の体制図だったので
全くと言っていいほど役に立ちませんでした。

実態としては
急いでかき集めた経験の浅いプログラマに
なすべきインプットもできないため
プログラマたちもパフォーマンスが出せず
火に油を注いだ状況となっていました。

体制も、開発リーダーの下に
プログラマが20~30人並列にぶら下がっており、
何か質問がある場合には
リーダーに質問することになります。
すると当然リーダーは捌き切れませんから
リーダーが空くのを待つか
疑問を抱えながら作業を進めることになります。
そのような状況ではスピードも出ないし
品質だって期待できるはずがありません。

そんな中、私はリーダーの代わりに
新参プログラマたちの技術的な質問に答える役として
スポットで駆り出されたのです。

このプロジェクトには
初期のインプットとなる情報が
ドキュメントとして整備されていて
しかもそれが素晴らしく高品質でした。
どれだけ体制がイケてなかったのかは
私が受けた質問の質が物語っていました。

さて、いつの頃からか、
フラットな体制とかフラットな組織が
持て囃されてきた感があります。

会社組織において
中間管理職の数をグッと減らして
組織の階層を減らしたという話は
割とどこでも聞きます。
でもそれで仕事が楽に回るようになった
という良い話は聞いたことがありません。
どちらかというと忙しくなったとか
ネガティブな意見が多い印象です。
(私の周りだけかもしれませんが…)

無駄な階層は確かに排除すべきですが、
必要な階層まで排除しないようにしたいものです。
何が無駄で何が必要かを見極めるのは難しいですが、
一人のリーダーが20~30人の面倒を見る
というのは明らかにいびつです。

これはチームに課せられている役割にもよるでしょうが、
チームの適正人数は5~6人とも10人とも言われています。

「スパン・オブ・コントロール(マネジャー1人が直接管理している部下の人数や、業務の領域)」という言葉が経営学にありますが、一人のリーダーが率いるチーム人数としては、チーム生産性の観点からも“同志として目的や夢、想いを共にする”観点からも、まず編成すべき単位は「7人(±2人)のチーム」

https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/190401/wsa1904010700003-n3.htm
チームを成功へ導く魔法の数字たち 「7」「30~50」「150」・井上和幸

メンバーが20~30人だったら、
サブリーダーを立てて
3つか4つぐらいのチームに分け、
それぞれに役割を与えたら
良かったのだろうと思います。
(もちろん燃え盛っている最中ですから
それすら出来なかったんだと言われれば
それまでですが…)

前回お伝えした
役割定義と体制図を作るというのは
チームを組成して役割を与える
ということと同義です。

プロジェクトの体制図が重要であるという話

フラットな組織構造というのは
その初期の手間を惜しんだ結果、
(意図的に惜しんだとは言えないかもしれませんが)
メンバーを動かすためには
その都度タスクを割り振る必要に迫られ、
結果的にリーダーが回らなくなるのです。

これは組織の流儀にもよりますが、
チームの組成と役割定義によって
目指すのは自律的なチーム運営です。
自律的というのは、
細かく指揮・命令をしなくても
自分たちでミッションを考えて
主体的に行動させるということであり、
指示待ち状態を作らないということです。

このような体制を構築することで、
プロマネやリーダーが本来行うべき
タスクに集中する環境ができるのです。



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