学校のスタイルを変えるかもしれない「教育データ利活用」

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

1月7日に、デジタル庁が「教育データ利活用ロードマップ」なるものを公開したという話題を取り上げます。

デジタル庁のお知らせはこちら。

教育データ利活用ロードマップを策定しました

ITの仕事をしていると、IT化が進んでいる業界と遅れている業界についての噂が聞こえてきます。どちらかというと遅れている業界の噂の方が多かったですし、遅れているということを自虐ネタのように話している人もいましたね。もちろん私がIT業界に入った頃と比較すれば、遅れている業界は移り変わってきています。進んでいるか遅れているか噂の真偽はともかくとして、「遅れている」と名指しされた業界には間違いなくIT化の波がやってきてまして、教育業界も近年はEdTechという言葉に代表されるように開拓が進みつつあります。

まあ、その一環と捉えてもいいと思いますし、政府が「教育のデジタル化」というスローガンを掲げて、これから何をしようとしているかを示すのが今回発表された「教育データ利活用ロードマップ」なのだろうと私は理解しています。ロードマップというのは最終的な目標のために、いつまでに何を実現するかということを、分かりやすく言えば年表のように時系列で表現したものと理解してよろしいかと思います。資料は53ページもあるんですが、本当のロードマップは3ページしかなくて、それ以外は政策の背景や基本方針などが細かく書かれています。情報が詰め込まれすぎてて読みづらいんですけれども、読み応えはそれなりにあります。

教育業界のデジタル化というと最初はまず教材のデジタル化から始まって、個々の教材――例えば eラーニングのシステム内で閉じた世界――では学習の記録が蓄積されるけれども、それは別のシステムには持っていけません。持って行こうとしてもデータ項目やフォーマットがバラバラでそのままでは使えないわけです。でもそういった教育データを標準化すれば、例えば進学したり転校したりして次の学校で使っているシステムが違ってても学習の履歴を引き継ぐことができるということが期待されます。

私が資料の中でとても興味を持ったページがありまして(21ページ)、教育データの標準化が進むと、「誰が、どんな教材をどういう環境でどのように学んで、その結果何ができるようになったか」というデータが蓄積されていくのだということが全体像として書かれています。そうすると生徒一人一人にマッチした教材や学習のスタイルを提案することが可能になりますと。

ですが、こういうことは以前から言われていたことではありますので、真新しさは無く、いよいよ実現に向けて動き出すんだな…という風に理解をすればよろしいかと思います。でも本当にできるのか?いや、それをやっていいのか?というのが率直な気持ちです。この教育データを活用した教育が学校でなされるようになった場合、学校の在り方が根本から変わる可能性を秘めていると考えられるからです。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


従来の(というか今もそうですが)学校教育は、教室に数十人を集めて一斉に同じ教材を使って同じペースで授業を進めていきます。だからこそ、生徒はみんな同じ時間に同じ場所に集まって集団として訓練を受けます。一人一人にマッチした教育の提供をするということは、数十人が一斉に同じ教材を使って授業を行うスタイルをやめるということです。この2年で多くの会社でリモートワークが進みましたけれども、学校も(学校によっては)リモート授業が随分と進んでいると聞いています。ですから、学校教育のスタイルを変えるには今がチャンスだと言えなくもないです。

仮にコロナ禍が終息したとしても、グループ学習やクラブ活動の時だけ学校に集まって、それ以外の授業はすべてリモートというスタイルが当たり前になっていくのでしょう。小学校の場合は体験型の学習が多いので今のままでもいいと思いますし、今のスタイルの方がメリットがあるかもしれませんが、中学校からは教科書の内容も高度になって生徒の理解度に差がつくようになりますので、今のスタイルをやめた方が全体としては学習効果の底上げが期待できそうです。



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