プロジェクトオーガナイザの吉田聖書です。
10月26日に東日本旅客鉄道(JR東日本)とKDDIが連名でニュースリリースを出しまして、「空間自在ワークプレイス」というサービスを開始すると発表しました。
ニュースリリースはこちら。
離れていても同じ場所にいるかのようにチームが繋がる「空間自在ワークプレイスサービス」提供開始(2022/10/26 東日本旅客鉄道株式会社、KDDI株式会社)
このサービスは何かというと、専用の機材を設置した別々の部屋同士を、まるで本当に部屋がつながって一つの大きな部屋に一緒にいるような空間を作れるというものです。
それはWeb会議とどう違うかと思うかもしれませんが、Web会議は基本的に参加者個人個人の端末でアクセスして、画面いっぱいに参加者の画面がタイル状に並ぶようなもので、端末とネットワーク環境があれば基本的にどこからでも参加できるという特徴があります。ところが今回の新しいサービスは、あくまでも場所は固定で、ただし異なる拠点間をつなぐという発想です。どちらかというと従来のテレビ会議に近いかもしれません。
従来のテレビ会議は、部屋に専用の機材を設置して、拠点間を回線で結ぶことで遠隔地ともスムーズに打合せができるシステムですが、映し出すのはテレビモニターだったわけです。もちろん大型テレビを使えば臨場感は増すんですが、それでも同じ部屋にいる感覚はないですよね。ニュースリリースに添付されている写真(このイメージ写真は合成かもしれませんが)を見る限り、部屋の1つの壁全体に相手の部屋の全体像が映し出されていまして、本当に部屋が続いているような感覚になれそうです。
今のところ「空間自在ワークプレイス」を提供している拠点は高輪と梅田だけで、年内に八重洲、日本橋、横浜を順次オープンする予定となっています。気になっているのが、各拠点1部屋ずつしか施設がなさそうに見える点です。そして料金プランも月額でチケットを買って、そのチケットで使える時間がレギュラープランでも8時間しかないという点も気になります。今はまだ利用者が少ないから問題にはならないかもしれませんが、今後利用者が増えてくると部屋の取り合いになりそうですし、そうすると、利用するとしてもスポット的に利用することしかできないのではないかと感じました。
そこで、もう1つのサービスが「空間自在コネクター」というプランです。これは機材だけを貸し出すサービスのようで、それであれば自社のオフィスの一室にこれを設置し、かつ社内の別の拠点にも同じように設置して、いつでも同じ部屋にいるような環境が作れそうです。
※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。
これ、ITの開発現場であったら嬉しいなと思います。私はもう10年くらい前から何回か、そういった複数拠点にまたがってチームを組んだプロジェクトに参画したことがありますが、やはりコミュニケーションに課題がありました。当時は今みたいに回線も速くないしWeb会議システムが普及していませんでしたから、テレビ会議とメールと内線電話で頑張ってたんですよ。テレビ会議は他のプロジェクトでも使うので占有するわけにはいかず、必要な時しか使えません。なので基本はメールで資料を送って、その資料をそれぞれ見ながら内線電話で会話するというやり方でした。
ただ、それだと複数人で会話することがでませんし、そのことによるロスも大きかったので、私は参画していた現場の会社(私から見れば顧客)に提案して、無償で使える音声チャットのプログラムを社内サーバにインストールさせてもらいました。プロジェクトの各メンバーの端末にクライアントソフトをインストールして、それは確か常駐プログラムだったので、ヘッドセットを使えばいつでも会話できる状態になっていたと記憶しています。そのプロジェクトは問題が色々ありましたけれども、少なくともその仕組みを導入したことでコミュニケーションはスムーズになったと思います。
他のプロジェクトでも、そういうコミュニケーションのハードルを下げる仕組みを作れないかと思っていろいろ試したりはしているんですが、例えばWeb会議を1つ常時接続にしておいて、いつでも気軽に話しかけられる状態を試しに作ったりしたんですが、なんかうまくいかなくて、止めてしまったんですよね。今はテキストチャットも普及していますし、昔ほどコミュニケーションについて課題意識を持つ人は多くないかもしれません。でも、この空間自在サービスでつないでいれば、相手の様子も見えますし、普通に同じ部屋で一緒に作業していて、ちょっと話しかけることができる状況が実現できたらいいですね。
こういうのはWeb会議のように特定の時間枠だけつなぐというのではなく、朝出勤したらもう相手の部屋とはつながっていて、夜退勤するまで一緒に仕事ができたら、それはそれで楽しいかなと思いました。在宅ワークには使えませんが、近未来の新しいワークスタイルを提供してくれるかもしれません。
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