フラットデザインには慣れなければならないのか

アップル社のiOS 7、そしてマイクロソフト社のWindows 8がリリースされてからというもの、あののっぺりとした味気ない画面(UI)に抵抗を感じています。おそらく私はコンピュータの画面が文字ベースからグラフィカルになった頃から今日に至るまでコンピュータに慣れ親しんできて、UIの変遷を見て来ていますので、そもそもUIはリアルでリッチな表現を目指して進化してきたんじゃなかったっけ?というのが素朴な疑問です。

なんていうんでしょう。iPhoneが登場したころ、様々なアナログ・オブジェクトがモデリングされてアプリにされました。そこではピンチやスワイプといった、タッチパネルならではの操作方法と共にそのデバイスの特徴が示されていたと思います。スマートフォンに限らずパソコンのOSでも、例えばボタンはあの立体的な描写だから指で押したくなるわけで(といっても従来のパソコンではマウスポインタを当ててクリックするだけなんですが)、それが急に平坦になるとどうして良いか分からなくなってしまうのです。

とはいえ、iPhone登場前後に、ある種のサイトがこぞってボタンの表現を立体的でガラス光沢のある描写に変えた時、それにも抵抗感を覚えたことも事実です。従前の描写ではなぜいけないのか、その理由が全く見えなかったからです。どうも最近のこの平坦な描写への方向転換は、UIにおける描写のリアルさ、リッチさが本来意図していなかった方向に加熱してしまったことに対する反省に基づいているということのようです。

例えば、本がめくれるような描写は、紙の本を読んできた人でないとピンと来ません。リアルなマイクの図柄も、あのようなマイクを見たことが無いとこれがマイクだと理解できないかもしれません。そうなると、知っている人にとっては「説明しなくても扱い方が理解できる」というメリットがあっても、知らない人にとってはそういうメリットは享受できないことになります。芸人のモノマネが真似ている対象を知らないと面白くないように、パロディが元ネタを知らないと面白くないように、模倣というのは原典(オリジナル)を知らない人にとっては模倣の意味が無いものです。

リアルさ、リッチさとは少し異なりますが、パソコン向けの多くのアプリケーションが「保存」という操作をさせるためのアイコンの図柄にフロッピーディスクを採用しています。しかし、そもそも最近のパソコンにはフロッピーディスク装置が付いていることがほとんど無く、フロッピーなんて知らない人たちがいてもおかしくありません。そうなると、フロッピーディスクのアイコンが何をするものか想像できない人も出てくる可能性があります。

現在進行している方向性は、よく標識に喩えられています。標識は道路に限りませんが、日本の道路標識は非常にシンプルで分かりやすく、良く考えてデザインされていると思います。もし道路標識がリアルでリッチな描写を採用していたら、立ち止まって眺めるにはいいかもしれませんが、車を運転しているときに一瞬で判断しづらい(つまり目的を達成しにくい)のではないかと想像できます。

実は、iOS 7からiPhoneを使い始めたという人からは、このデザインに対して別に違和感はないという意見を伺っているので、そういうものだと思えば済む問題なのかもしれません。となると、今は過渡期なので全てのフラットデザインが使い易いわけではないとしても、流れとしてはシンプルな方向に向かっていくと思うので、やはり慣れていくしかないのではないか、と私の中では結論付けております。



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