平時のマネジメントと戦時のマネジメント(前編)

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

新型コロナウイルス感染拡大防止策として
今日から公立学校の臨時休業という
前代未聞の措置が取られています。

一定の理解はできるものの、
やりすぎではないかと感じる面もあります。
中には、政府のパフォーマンスではないか
といった批判の声も聞こえてきています。

私は医学・医療の専門家ではないので
そういった情報の掲載は控えますが、
今回の新型コロナウイルスへの対応を
プロジェクトマネジメントの切り口で
見ていきたいと思います。

メディアを通して聞こえてくる批判に
「対応が後手に回っている」
「見極めが甘かったのではないか」
というものがあります。
これは政府に対してだけではなく、
医療の専門家に対して向けられたものもあります。

もし平時なら、
その批判は当たっているかもしれませんが、
今が戦時だと考えると、
私は、必ずしもその批判は
当たってないのではないかと考えます。
もちろん私はその判断の場に
立ち会っているわけではないので
確実なことは分からない前提ですが。

プロジェクトマネジメントにおいても
平時と戦時とで行動を変える必要があります。

「平時」においては充分なリスク分析をして
こういったことが発生したらこういう行動をとろう
という計画を立てておくものです。
そして、そのリスクが現実となった時も
慌てずに粛々と計画通りの行動を行うだけです。

ところが、プロジェクトには
必ず未知の領域がありますから、
想定外の事象も数々発生します。
それらの事象に対して、
既存の体制でなんとか対応が追い付いて
いるのであれば問題ありません。
しかしそれが許容範囲を超える場合は
――俗に炎上といわれたりしますが――
速やかに「戦時」の体制に移行します。

未知の領域ですから、
普通ならこうなるはずと思っても
実際に事態が進行していくと
想定とは違った状況になることがあります。
調査・分析していって
新しい事実が分かったら
その事実を踏まえて
アクションプランを練り直します。

例えば(本当にあくまでも例です)当初は
未知のウイルスが侵入してきてないと判断し
水際で食い止める作戦を取っていたとします。
ところが、未知のウイルスを調査していくと
感染しても発症しないケースがあること、
潜伏期間が想定より長いということなど
徐々にその性質が分かって来たとします。

そうすると、
症例が出た時点よりも随分前から
実は蔓延していたのではないか
という仮説を立てることができます。
その場合、当初の作戦は意味をなさないため、
別の作戦に変更することになります。
(しつこいですがあくまでも例です)

事態は刻々と変化していきます。
PDCAサイクルなんて悠長な進め方ではなく
PDS(Plan-Do-See)サイクルレベルの
緻密で細かいフィードバックと
軌道修正が必要になります。
それは決して朝令暮改とは違います。

新しい事実が判明しているのに
当初のプランを固持する意味はありません。
状況がますます悪化するだけです。
最新の事実を踏まえて
常に最適な判断をしていかなければなりません。
それを「後手に回っている」とか
「見極めが甘い」などと非難するのは
当事者にとって非常に酷でしょう。

もしかしたら
今が平時なのか戦時なのかは
現場に立ち会っている人にしか
区別がつかないものなのかもしれません。
だったらなおのこと、非難は謹んで
第一線で頑張っている方々に
敬意を表したいと思います。



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