平時のマネジメントと戦時のマネジメント(後編)

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

新型ウイルスに感染しているのかの検査を
受けたいのに受けさせてくれない
という声が聞こえてきています。

この問題について、前回に引き続き、
プロジェクトマネジメントの切り口で
見てみましょう。

前回も申し上げたとおり、
私は医学・医療の専門家ではないので
そういった情報の掲載は控えます。

前回の記事では、
平時では当たり前の事が
戦時では当たり前に出来ない
という趣旨のことを書きました。

平時のマネジメントと戦時のマネジメント(前編)

これは方針だけの話ではなく、
タスクの遂行においても言えます。
具体的には、平時であれば
全てのタスクを実施するのは当たり前です。

しかし、戦時においては、
そもそもタスクが溢れている状態です。
やってもやっても
タスクは減るどころか増えていきます。
言い換えればタスクを遂行するための
リソースが不足しているということです。

こういう時どうするか。
平時であれば、リソースを追加したいところですが、
戦時であれば、追加可能なリソースがそもそもありません。
たとえ可能だとしても今すぐには整えられません。

基本的な方針としては
実施するタスクを絞り込むことになります。
つまり、何らかの基準に従って
全てのタスクに優先順位を付け、
優先度の高いものから実施していくという作戦です。
これを「トリアージ」と言います。

炎上プロジェクトにおいては
よくこういった手法を採用しますが、
これは実は戦時の医療体制をヒントに
プロジェクトマネジメントに応用したものなのです。
今の日本においては、戦時というよりは
災害時の医療という枠組みですね。

つまり(広域)災害時においては、
医療のリソースが不足するので
何らかの基準に従って優先順位を付け、
優先度の高いものから処置していくことになります。

怪我とか発熱とかしても、
軽症だったり自分で動けるという場合は
優先度が下がります。

医療の場合はプロジェクトよりシビアで
助かる見込みが無い対象は
優先度を最下位に設定します。
そうすることで、
放置すると助からないけど
処置すれば助かるという人を
一人でも多く助けることができるのです。

今回のウイルス騒ぎでも
希望者全員を検査できないとか
感染してても症状が出ていないか
軽症だったら入院させないという措置は
リソースが不足してしまうからであり、
それ以外に重篤な怪我や病気を
優先する必要があるからだと考えられます。
(検査の有効性の問題もあるかもしれませんが、
ここでは割愛します。)

感染しているかもしれない人にとっては
到底納得できない事かもしれませんが、
「戦時」というのはそういうことです。

仮に大地震が起きて
あちこちで火災が同時に発生し、
自宅も火災に見舞われたとします。
その時、119番に電話したとしても
消防車は駆け付けてくれないでしょう。

「見捨てるのか!」と怒鳴ったり
わめいたり、文句を言ったところで
どうにかなる問題ではありません。

このトリアージですが、
実際のプロジェクトに
適用するに当たって重要なことは
優先順位付けの基準を
明確にしておくということと、
その基準が客観的でなければならない
ということです。

基準があいまいなまま運用してしまうと
あるいは主観的な基準で運用してしまうと
好き嫌いとか気分が反映されることになり
プロジェクトメンバーの誰からも
理解を得られることは無いでしょう。



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