東京都が「ユーザーテストガイドライン」を公開

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

月初の9月1日に、東京都のデジタルサービス局が「ユーザーテストガイドライン」を公開した、という話題を取り上げます。

シン・トセイの公式サイトはこちら
ユーザーテストガイドラインを公開しました

このガイドラインは、都庁の職員向けに書かれたものでして、都庁で開発(委託)する職員や都民向けの情報システムの、言ってみれば受入テストの基本方針を定めたものとなっています。これは無料で公開されていて誰でも読むことができます。30ページ弱の資料ですので、ぜひ皆さんも目を通してみてください。

実際に読んでみるとプレゼンテーション資料のようで、文字も大きく図表も豊富で読みやすい印象を持ちました。どちらかというと開発者向けの内容ではなく、企画担当者向けの内容かと思います。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


先ほど、「受入テスト」の…と書きましたが、よく読むと受入テストは別にあって、受入テスト完了後にシステムのベータ版をリリースして、ベータ版で実施するモニターテストのことを指してユーザーテストと呼んでいるようですね。モニターテストですから、実際の利用者の声を拾うということでしょう。この場合、受入テストは企画担当者が行うのだと思いますが、企画担当者は一般の利用者と比較して持ち合わせている情報が多すぎるので、利用者の立場になり切れないという側面があります。そうすると、企画担当者の目線では合格でも、一般利用者の目線では使い物にならないといったことが起こり得ます。

これは、今年度から正式に展開を始めた取組だそうで、「テストしないものはリリースしない」というのが合言葉だそうです。ということは、逆に今までテストしないでリリースしていたのか…というツッコミを入れたくなります。自治体の提供するシステムというと使いづらい印象がありますし、実際使いづらいんですけれども、そのままではデジタル化の進歩に後れを取ってしまうということで始められたのでしょう。でも、自治体がこういう取組をするというのは個人的には大賛成です。

そのガイドラインの内容を具体的に見てみましょう。

ガイドラインの内容は、都庁職員以外でもシステムの企画や開発に携わる方には役立つと思います。特に第2章のユーザーテストの定義と、続く第3章のユーザーテストの進め方は目を通すことをお薦めします。第3章はユーザーテストの流れを説明しています。大きな流れとして、テスト計画があり、テストを実施し、システムを改修するんですと。そしてそれぞれについて詳しい説明が書かれています。テスト計画については、自分が初めて担当すると、何から手を付けて良いか分からないということもあると思いますが、目的の設定や、シナリオ(ガイドラインの中ではタスクと呼んでいますが)の設計方法、課題管理のフォーマットなどを提供しており、スムーズなスタートを切るために最低限必要な情報が揃っています。

業界によっては重厚なテストドキュメントを用意するということがあるかもしれませんが、このガイドラインでは本当に必要最低限のエッセンスのみに絞っており、誰にとっても理解しやすいのではないかと思いました。テスト作業に限らず、説明資料はこのくらい平易に書くべきだなと改めて思わされました。



関連記事

プロマネの右腕

クロスイデアでは、新サービス・新ビジネスの 立上げや計画を中心に
プロジェクトマネジメントの支援を行っています。

新サービスの企画を任されたけど どう進めていいか悩んでいる担当者、
部下に新しい企画を任せたけど このままで大丈夫か不安な管理職の方、
以下のサイトをご参照ください。
https://www.crossidea.co.jp/services/right-hand-pmo.html

YouTubeにて動画配信中!

プロジェクトマネジメントのノウハウを
YouTubeで配信しています。
ブログと併せてご活用ください。

Comments are closed.